インデックスファンドは、対象とする株価指数などのベンチマーク(インデックス)に連動する投資成果を目指すファンドです。例えば、東証株価指数をベンチマークとするインデックスファンドであれば、東証株価指数が5%上昇したら、ファンドも5%上昇するように設計・運用されています。
では、インデックスファンドは、どのようにして、ベンチマークに連動する投資成果を達成するのでしょうか。その手法には、レプリケーション手法、シンセティック・レプリケーション手法、サンプル手法があります。
レプリケーション手法 #
レプリケーション手法では、ファンドはベンチマークと同じ投資成果を目指すために、ベンチマークを構成している全ての銘柄を、ベンチマークの構成比率と同じ比率で保有することで、ベンチマークとの連動を図ります。
つまり、インデックスファンドがベンチマークをコピーするわけです。これが、ファンドの値動きをインデックスに一致させる代表的な手法の一つで、レプリケーション手法と呼ばれる方法です。レプリケーション(replication)は、複製、再現という意味です。
もう少し詳しく見てゆきましょう。
レプリケーション手法では、ファンドはインデックスを構成する銘柄全てを、インデックスの組入比率とほぼ同じ比率で保有します。例えば、インデックスにおいて銘柄Aの組入比率が5%であれば、ファンドも銘柄Aを5%組入れます。このようにして出来上がったファンドは、文字通りインデックスをレプリケートした(複製した)ファンドということになります。
レプリケーション手法のイメージ図
この手法は主に株式ファンドにおいて利用されます。債券ファンドにおいては、インデックスを構成している公社債の中には流動性が低く、ファンドが実際に組入れることが困難な場合があるため、レプリケーション手法はあまり効率的な手法とは考えられていません。
シンセティック・レプリケーション手法 #
もう一つのベンチマークに連動させる方法が、シンセティック・レプリケーションという手法です。シンセティック・レプリケーションでは、ファンドは指数の構成銘柄を直接組み入れることはせず、銀行との間でスワップ契約を結び、ファンドは投資家が払い込んだ現金を銀行に支払い、銀行は引き換えに買い戻し代金と指数のリターンをファンドに対して保証します。この仕組みにより、トラッキングエラーが最小限に抑えられ、同時にファンドの運用にかかる費用も低く抑えられるというわけです。東京証券取引所に上場しているETFにおいてよく利用される方法です。
サンプル法 #
サンプル法は、ファンドが指数(ベンチマーク)を完全に模倣するのではなく、一部の代表的な銘柄(サンプル)を選んで投資する手法です。これにより、コストを抑えながらインデックスの動きをある程度再現することが目的です。
サンプル法は、市場が大きすぎる場合などに利用されます。たとえば、ベンチマークが5,000銘柄で構成されていて、5,000銘柄すべてに投資するのはコストや管理が大変であるという場合などに、サンプル法で主要な銘柄をピックアップして投資します。また、流動性の低い市場や一部の銘柄が流動性に乏しい場合に、サンプル法を使って投資を最適化することがあります。
サンプル法は、管理コストが低いというメリットがある一方で、サンプル選びに間違うと完全にベンチマークと同じリターンを得られない可能性があるというデメリットもあります。
インデックスファンドは、どのようにしてベンチマークと同じ投資成果を目指すのかのまとめ #
インデックスファンドは、ベンチマーク(株価指数など)に連動する投資成果を目指し、主に3つの手法を用います。①レプリケーション手法は、ベンチマークを構成する全銘柄を同じ比率で保有する方法で、特に株式ファンドで使われます。②シンセティック・レプリケーション手法は、スワップ契約を利用し、構成銘柄を保有せずにベンチマークのリターンを保証する方法です。③サンプル法は、代表的な銘柄を選び、簡略化して指数を再現する方法で、コスト削減を目的としています。