為替ヘッジとは #
海外の株式や債券に投資する投資信託は、米ドル建て、ユーロ建て、英ボンド建て、韓国ウォン建て、香港ドル建て等々の外貨建て資産に投資して運用収益を獲得することを目指しています。
ところが、外貨建てで見れば高収益を獲得できたとしても、為替レートが円高に変動すると、円建てに直した収益は目減りしてしまったり、悪い場合には損失が出てしまったりすることがあります。
このような事態を避けるために、運用会社では為替ヘッジを行います。
外貨建て資産へ投資すると同時に、一定の為替レートで外貨と円貨を交換する契約を結び為替の変動による損失(為替リスク)を回避することを為替ヘッジと言います。ヘッジ(hedge)とは英語で回避するという意味です。
為替ヘッジの方針 #
為替ヘッジの方針はファンドにより異なります。為替ヘッジをしないファンド、為替ヘッジを行うファンド、限定的に為替ヘッジを行うファンドがあります。どのような為替ヘッジ方針かはファンドの目論見書に記載されています。運用会社では、同じ投資対象・投資方針のファンドに「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2本のファンドを用意していることが多くあります。海外の株式や債券に投資するファンドを購入する際には、為替ヘッジの方針が自分の考え方やリスク許容度に合っているかどうかをきちんと確認しましょう。
為替ヘッジを行なわないファンド #
為替ヘッジを行わないファンドでは、為替レートが円安にふれれば、保有する外貨資産の円換算した価値が増えるため、ファンドの基準価額にとってプラスの要因になります。一方で、為替相場が円高にふれれば、基準価額はマイナスの影響を受けます。為替リスクをとってでも為替差益を含めて海外の資産に投資したい場合は、為替ヘッジなしのファンドを選択することになります。
為替リスクをヘッジするファンド #
為替ヘッジをするファンドでは、円高、あるいは円安にふれても、基準価額は為替相場の影響をほとんど受けません。為替レートの変動は出来るだけ回避した上で、海外資産の値上がりや分配のみを期待したい場合には、為替ヘッジをおこなうファンドを選択することになります。
限定的に為替ヘッジを行うファンド #
限定的に為替ヘッジを行うファンドには複数のタイプがあります。例えば、特定の通貨で為替ヘッジを行うタイプと主要通貨に対してのみ為替ヘッジを行うファンドがあります。
特定の通貨だけで為替ヘッジを行うファンド #
特定の通貨だけで為替ヘッジを行うファンドは、投資している複数の外貨建て資産を特定の通貨でのみで為替ヘッジを行います。
例えば、複数の通貨建ての資産に投資していても、米ドルだけで為替ヘッジを行うというものです。この場合、保有する外貨建資産と同額程度の米ドル売り/円買いの為替取引(為替ヘッジ)を行います。この為替取引により、ファンドが有する外貨建て資産のうち、米ドル建資産については為替変動リスクが低減されますが、米ドル以外の通貨建資産については対米ドルでの為替変動リスクが残ることになります。
主要通貨に対してのみ為替ヘッジを行うファンド #
主要通貨に対してのみ為替ヘッジを行うファンドは、複数の通貨の資産に投資していても、原則として主要通貨建資産(例えば、米ドルとユーロ)については外貨売り円買いの為替取引を行ない、対円での為替変動リスクの低減を図り、主要通貨建以外の資産については為替取引を行なわないというものです。したがって、対主要通貨での為替リスクはヘッジできますが、主要通貨以外の通貨建て資産は為替変動の影響を受けます。
為替ヘッジのまとめ #
為替ヘッジとは、外貨建て資産への投資で為替変動リスクを回避する手法です。ヘッジなしは為替の影響を受け、ヘッジありは安定性を重視、限定的ヘッジは一部通貨のみリスクを抑える運用方法です。