ファンドの現金比率 #
投資信託は、ファンドの資産のうち概ね5%から15%程度を現金や短期金融資産のような流動性の極めて高い投資対象に投資しています。これらは「現金」としてファンドの資産内訳などに表示されています。
ファンドが現金を保有する理由 #
ファンドが全ての資金を債券や株式などの有価証券に投資せずに、一部を「現金」として保有するには次の3つの理由が挙げられます。
- 解約資金を準備しておくため
- 市場の動向に対して弱気であるため
- 魅力的な投資対象がみつかった場合に即座に対応するため
1. 解約資金を準備しておくため #
投資信託では、日々、新しい購入者がいる一方で、解約(売却)も日々発生しています。解約された投資信託の分は現金化して投資家に返す必要があります。この解約による現金の払い出しに備えて、現金を保有している必要があります。
2. 市場の動向に対して弱気であるため #
投資信託では、ほとんど全ての資金を運用方針に則って投資に回しますが、市場が乱高下したり、突発的な変動があったりした場合、相場の見通しが弱気になったり、しばらく様子見したりする方が賢明であるとファンドマネージャーが判断した場合には、通常より多めの現金を保有していることがあります。
3. 魅力的な投資対象がみつかった場合に、即座に対応するため #
ファンドマネージャーは、魅力的な投資対象がみつかった場合や、購入したいと考えている投資対象の価格が適正な水準にまで低下した場合に、即座に反応して、投資対象を購入しようとします。このような場合に備えて現金を保有します。
上記のような場合に備えて、ファンドマネージャーはファンド資産の一部を現金として保有します。従って、その状況によりこの現金比率はある程度増減します。
注意が必要な場合 #
しかし、ファンドの解約が増加しており、それに対応するために、現金比率を増やさなければならないような状況にファンドが置かれている場合は注意が必要です。解約が増加してしまうと、ファンドマネージャーは売りたくない銘柄、あるいは売りたくないタイミングでファンドに組み入れている株式や債券を売却せざるを得ず、思うような運用ができなくなる可能性もあります。
ファンドの現金比率が他のファンドと比較して高い場合やその比率が増えている場合などには、どういう理由でファンドの現金比率が高いのか、どうして増えているのか、販売会社や運用会社に問い合わせみましょう。運用会社が作成し、ホームページなどで公開している月次報告書に、説明が記載されている場合もあります。
ファンドの現金比率の増減理由のまとめ #
ファンドの現金比率は、解約資金の準備、市場の弱気な見通し、または魅力的な投資機会への即応のために調整されます。通常は5~15%の現金を保有しますが、解約対応のために現金比率が増加すると、運用が制約される可能性があります。現金比率が高い理由は、販売会社や運用会社に確認するとよいでしょう。