相場が下がっても儲かるファンドとして人気があるベア型ファンドですが、相場が上下動を繰り返すと、基準価額はわずかながら、どんどん下がってしまうという欠点があることは以外と知られていません。
ベア型ファンドは、対象となる株価指数の変動率に対して、正反対の動きをするように設計されています(レバレッジを効かせていない、倍率が1倍の場合)。
しかし、変動幅に逆連動するのではなく変動率に逆連動するという設計上、相場が上下に乱高下する過程で微妙にズレが発生してしまうのです。
簡単な例で説明しましょう。
まず株価指数が100から110、120、110と変動して、再び100に戻ったとします。それぞれの変動率は10%、9.09%、マイナス8.33%、マイナス9.09%となります。
次にベア型ファンドの動きをトラックしてみましょう。株価指数の変動率に対して逆連動するわけですから、それぞれマイナス10%、マイナス9.09%、プラス8.33%、プラス9.09%変動させればいいわけです。
すると、100から始まったベア型ファンドの基準価額は、90、81.82、88.64、96.69と推移することになり、元の100には戻らないことがおわかりでしょう。
これだけの変動で、すでに3.31%の下方への誤差が発生しています。実際の株価指数の動きは毎日上下に乱高下するわけですから、わずかな誤差でも時が経過するにつれて積み重なってゆき、連動性(より性格には逆連動性)は徐々に低下することになります。
これがベア型ファンドはレンジ相場に弱い、あるいは長期保有に向かないといわれる理由のひとつです。ベア型ファンドに投資する際には、この点をよく理解しておくことが必要です。
なお、ブル型ファンドで株価指数の動きと同じ変動率(つまり1.5倍、2倍などレバレッジの効いていないもの)で推移するよう設計されているものは、このようなクセはありません。ブル型ファンドでも、レバレッジが効いているものはベア型ファンドと同様のクセを持っていますので注意が必要です。
ベア型ファンドがレンジ相場に弱い理由のまとめ #
ベア型ファンドは、株価指数の変動率に逆連動するよう設計されていますが、相場が上下動を繰り返す「レンジ相場」では、わずかなズレが累積し、基準価額が徐々に下がる特性があります。これは変動幅ではなく変動率に基づく設計によるもので、長期保有や乱高下する相場に向かない理由の一つです。この点を理解し、短期的な利用を前提にすることが重要です。