議決権とは? #
議決権は、株主に与えられる権利の一つで、株主総会に出席して、会社の利益の分配方法、役員の選任、約款の変更など、会社の経営方針などに関する重要な事項についての議案に賛成または反対の投票を行うことができる権利です。
保有する株式の数に応じて議決権の数が決まります。多くの株式を持っている株主は、それだけ多くの議決権を持つことになります。
投資信託が保有している株式の議決権 #
議決権は運用会社が行使する #
では、投資信託が保有している株式の議決権はどうなっているのでしょうか。
株式に投資している投資信託も、保有する株数に応じて議決権を保有しています。規模の大きな投資信託では、かなりの議決権を保有していることになります。
投資信託が保有している株式に付帯する議決権については、投資信託委託業者(=運用会社)が代表して権利行使を行うことになっており、投資信託の受益者(=投資家)に議決権は与えられていません。
運用会社は、「議決権行使の考え方」等という議決権行使の方針を公表しています。通常、日本の株式についての方針、海外の株式についての方針、不動産投資信託の議決権についての方針が各々公表しています。この方針に従って、議決権を行使しています。
運用会社の議決権行使についての公表例 #
- 野村アセットマネジメント「議決権行使の基本方針」
- 三井住友トラスト・アセットマネジメント「議決権行使の考え方」
- コモンズ投信「議決権行使の基本的考え方」
- レオス・キャピタルワークス「議決権の行使について」
議決権行使の状況の公表 #
運用会社は、年に数回、議決権行使の状況も公表しています。通常、議案ごとに、「賛成」「反対」「棄権」の数を公表します。
議決権行使助言会社 #
議決権行使助言会社とは #
運用会社は、責任ある投資家として、自社の議決権行使の方針に則って権利を行使します。そのとき、自社のみで議決権行使を決定する会社と、議決権行使助言会社の助言を利用する会社があります。議決権行使助言会社とは、主に機関投資家(例えば、年金基金や投資信託など)が企業の株主総会において議決権を行使する際に、その投票行動に関する助言や推奨を提供する会社のことです。
議決権行使助言会社の役割 #
- 議案の分析: 企業が株主総会で提案する議案(役員選任、配当方針、合併提案など)について、専門的な分析を行い、賛成・反対の判断材料を提供します。
- 助言や推奨: 投資家に対して、どの議案に対して賛成または反対すべきかを助言し、投票行動を支援します。
- リサーチの提供: 企業のガバナンスや経営の透明性に関するリサーチを行い、そのデータを提供します。これにより、投資家は企業の信頼性や長期的な価値を評価するための情報を得ることができます。
なぜ、議決権行使助言会社を利用するのか #
機関投資家は膨大な数の企業の株を所有していることが多く、全ての企業の議案を個別に精査することが困難です。そこで、議決権行使助言会社が、効率的かつ専門的に議案を分析し、投資家に対して信頼できる助言を行うことで、適切なガバナンスが確保され、株主の権利が適切に行使されるようになります。
投資信託の保有する議決権についてのまとめ #
投資信託が保有する株式の議決権は運用会社が行使し、受益者(投資家)には直接の権利はありません。運用会社は「議決権行使の方針」を公表し、責任ある投資を実施します。また、議案の分析や助言を提供する議決権行使助言会社を利用することで、効率的かつ専門的な議決権行使が可能となります。