ゴールドETF #
ファンドの値動きが金の価格に連動する仕組みのETFを一般にゴールドETFと呼びます。2024年10月末日現在、次の4本のゴールドETFが東京証券取引所に上場しています。
- NEXT FUNDS金価格連動型上場投信(銘柄コード:1328)
- SPDR ゴールド・シェア(同:1326)
- WisdomTree 金上場投資信託(同:1672)
- 純金上場信託(金の果実)(同:1540)
4本のファンドとも、金価格に連動する投資成果を目的とするETFですが、目的を達成するための投資対象や仕組み、ベンチマークなどに違いがあります。
金価格連動型上場投資信託(1328) #
「金価格連動型上場投資信託」は、金地金価格(1グラム当たりの円表示)に連動する投資成果を目的とした有価証券に投資を行ないます。この有価証券のことを一般に指数連動債券やリンク債と呼びます。同ファンドは金には直接投資しません。管理会社は野村アセットマネジメント。
SPDR ゴールド・シェア受益証券(1326) #
「SPDR ゴールド・シェア受益証券」は、金の地金価格への連動を目指すETFで、直接、金の現物に投資します。ファンドが購入した金はカストディアンと呼ばれる銀行が保管しています。2008年3月に信託法が改正され、商品に直接投資するETFの設定が可能になったために実現した形態のファンドです。また、「SPDR ゴールド・シェア」は、最初に2004年11月12日に米国で設定され、2004年11月18日にニューヨーク証券取引所に上場しました。2007年12月13日にニューヨーク証券取引所からニューヨーク証券取引所アーカ取引所に上場移転し、その後、2006年8月10日にメキシコ証券取引所、2006年10月11日にシンガポール証券取引所、2008年7月31日に香港証券取引所に上場しています。外国籍ETFです。管理会社はワールド・ゴールド・トラスト・サービシズ・エルエルシー。
WisdomTree 金上場投資信託(1672) #
「WisdomTree 金上場投資信託」も金地金価格に連動する投資成果を目指すETFで、金の現物に投資します。ファンドが購入した金はカストディアンである銀行が保管しています。WisdomTree 金上場投資信託は、投資信託法第220条の「外国投資法人の発行する投資法人債券に類する証券」に該当します。外国籍ETFです。2016年1月1日より、当該ETFは税務上「上場株式等」として取扱われ、特定口座の取扱い対象です。管理会社はウィズダムツリー・マネジメント・ジャージー・リミテッド。
純金上場信託(金の果実)(1540) #
「純金上場信託(金の果実)」はファンドの価格が金地金の現在価値(理論価格)に連動するように設計されたETFで、金の地金に投資します。初の国内組成による内国商品現物型ETFであり、ファンドが購入した金地金はカストディアンである三菱商事との契約に基づき、サブカストディアンの国内で保管されています。同ETFの最大の特徴は日本において金現物との交換が可能である点にあります。管理会社は三菱UFJ信託銀行。
4本のファンドを比較すると次のようになります。
金価格連動型上場投資信託 | SPDR ゴールド・シェア受益証券 | WisdomTree金上場投資信託 | 純金上場信託(金の果実) | |
---|---|---|---|---|
銘柄コード | 1328 | 1326 | 1672 | 1540 |
連動対象 | 1グラム当りの円表示の金価格 | 金地金価格(ロンドン金値決め) | 金地金価格(ロンドン金値決め) | 金地金の現在価値(理論価格) |
投資資産 | 金価格連動債券 | 金 | 金 | 金 |
金現物の裏付け | なし | あり | あり | あり |
地金との交換 | 不可 | 不可 | 不可 | 可 |
管理会社 | 野村アセットマネジメント | ワールド・ゴールド・トラスト・サービシズ・エルエルシー | ウィズダムツリー・マネジメント・ジャージー・リミテッド | 三菱UFJ信託銀行 |
上場市場 | 東京 | 東京、NYSEアーカ、メキシコ、シンガポール、香港 | 東京、イタリア、ロンドン、ユーロネクスト、ドイツ・クセトラ | 東京 |
特定有価証券分類 | 内国投資信託受益証券 | 外国投資信託受益証券 | 外国投資証券 | 内国信託受益証券等 |
分配 | 年1回 | なし | なし | なし |
信託報酬 | 0.55%(税込) | 0.4% | 0.39% | 0.44%(税込) |
上場日 | 2007年8月10日 | 2008年6月30日 | 2009年8月24日 | 2010年7月2日 |
税法上 | 上場株式等 | 上場株式等 | 上場株式等 | 上場株式等 |
(2024年9月現在)
ゴールドETFに共通の特徴 #
ゴールドETF(上場投資信託)は、金の価格に連動する投資商品です。投資家は金を現物で保有する代わりに、ゴールドETFを通じて金に投資することで、金市場の価格変動にアクセスできます。ゴールドETFに共通の特徴として次が挙げられます。
1. 金価格に連動: ゴールドETFは金価格の動きに連動しているため、金の現物を保有するのと同様の効果が得られます。ただし、ETFの価格が完全に金現物の価格と一致するわけではなく、市場の需給によって若干の乖離が生じることもあります。
2. 流動性が高い: ゴールドETFは株式と同じように取引所で取引されるため、売買が容易で、現物の金よりもはるかに流動性が高いと言えます。取引時間内であれば、いつでも市場価格で売買できます。
3. 保管やセキュリティの心配がない: 金の現物を保有する場合、保管や盗難リスクが問題になりますが、ゴールドETFを通じて投資することで、これらの問題を回避できます。金を保管する必要がなく、手数料や保険なども発生しません。
4. コスト効率が高い: ゴールドETFは、金の現物を購入して保有する際にかかる保管コストや取引コストに比べて、比較的低コストです。ETFの管理会社が金の保有や管理を行い、その手数料が年率でかかることがありますが、これも現物保有に比べて効率的です。
5. 分散投資に利用できる: ゴールドETFは、ポートフォリオの一部として分散投資に使うことができます。特に金は、インフレや市場の不安定な状況で価値が上昇しやすい資産とされているため、リスクヘッジの一環として利用されることが多いと言われています。
ゴールドETFのまとめ #
ゴールドETFは、金価格に連動する投資成果を目指した上場投資信託で、金の現物を保有せずに金市場への投資が可能な商品です。東京証券取引所に上場している4本のゴールドETF(1328、1326、1672、1540)は、投資対象や仕組みに違いがあります。一部は金現物に直接投資し、金の保管を伴うものもあり、さらに「金の果実(1540)」は金現物と交換可能な特徴を持ちます。これらは流動性が高く、保管リスクを避けつつ低コストで分散投資に利用できる点が投資家に支持されています。