2つのETF #
ETFには、株価指数や債券指数などの特定の指標への連動を目指す指標連動型ETFと指標への連動は目指さず、ファンドマネージャーが運用方針に基づいて組入銘柄や資産配分を決定するアクティブ運用型のETFがあります。ここではアクティブ運用型ETFについて説明しています。
アクティブ運用型ETF #
アクティブ運用型ETFとは、ファンドマネージャーが積極的に投資判断を行い、特定の市場指数やベンチマークを上回るパフォーマンスを目指すETFです。ベンチマークを設けず、積極的な運用をするアクティブ運用型ETFもあります。
2つのアクティブ運用型ETF #
アクティブ運用型ETFには、ベンチマークを設定して、それを上回る投資成果を目指すETFとベンチマークを設けず、独自の投資戦略に則って運用されるETFがあります。
ベンチマークを上回る投資成果を目指すアクティブETF #
SMT ETF日本株厳選投資アクティブ(257A) | 三井住友トラスト・アセットマネジメント |
日本の株式に投資するアクティブ運用型ETFです。個別企業分析に市場動向分析を積極的に付加し、投資銘柄を厳選することにより、ベンチマークであるTOPIX(東証株価指数)(配当込み)に対する超過リターンを目指します。 |
特定の戦略に沿って運用されるアクティブETF(2024年9月末現在) #
iFreeETF 米国国債7-10年(為替ヘッジなし)(2015) | 大和アセットマネジメント |
残存期間が7年程度から10年程度までの米国国債に投資し、残存期間ごとの国債の投資金額がほぼ同程度となるように組入れることをめざして運用を行う。為替ヘッジは行わない。 |
iFreeETF 米国国債7-10年(為替ヘッジあり) (2016) | 大和アセットマネジメント |
残存期間が7年程度から10年程度までの米国国債に投資し、残存期間ごとの国債の投資金額がほぼ同程度となるように組入れることをめざして運用を行う。為替リスクを回避するために為替ヘッジを行う。 |
SMT ETF 日本好配当株アクティブ(170A) | 三井住友トラスト・アセットマネジメント |
日本の証券取引所等に上場している株式の中から、予想配当利回りが市場平均(加重平均、今期予想ベース)と比較して高いと判断される銘柄を中心に投資し、安定的な配当収益の確保と投資信託財産の中長期的な成長を目指して運用を行う。 |
SMT ETF 国内リート厳選投資アクティブ(258A) | 三井住友トラスト・アセットマネジメント |
日本のリートに投資するアクティブETF。国内リートへの投資に当たっては、各銘柄の投資適格性等を考慮したうえで、 投資環境調査、各銘柄の保有不動産分析、収益並びに配当の予想等に基づき、銘柄選択を行う。 |
SMDAM Active ETF 日本高配当株式 | 三井住友DSアセットマネジメント |
日本の証券取引所に上場する株式に投資し、中長期的な株価の上昇と配当収益の確保を目指して運用を行う。 |
上場Tracers 米国債0-2年ラダー(為替ヘッジなし)(2093) | 日興アセットマネジメント |
残存期間が2年以下の米国国債に投資を行います。原則として、国債の残存期間(6か月ごと)に応じて4つのグループに分け、各グループへ概ね等金額となるよう投資を行う(ラダー型運用)等の、事前に定めたルールに沿って運用する、パッシブ運用のETF。為替ヘッジは行わない。このETFは、連動対象となる指数が存在しないため、東証規則上の「内国アクティブ運用型ETF」に該当する。 |
PBR1倍割れ解消推進ETF(2080) | シンプレクス・アセット・マネジメント |
PBRが1倍未満の銘柄のなかから、利益水準や財務状況、取引所における流動性等を管理会社独自の観点から総合的に勘案し、投資銘柄を選定することにより、投資信託財産の成長を目指して運用を行う。 |
政策保有解消推進ETF(2081) | シンプレス・アセット・マネジメント |
政策保有株式の純資産における比率が一定以上の銘柄のなかから、利益水準や財務状況、取引所における流動性 等を当社独自の観点から総合的に勘案し、投資銘柄を選定することにより、投資信託財産の成長を目指して運用を行う。 |
投資家経営者一心同体ETF(2082) | シンプレス・アセット・マネジメント |
取締役会構成員、およびその親族、資産管理会社等の議決権保有割合の合計が相当程度ある企業のなかから、利益水準や財務状況、取引所における流動性等を管理会社独自の観点から総合的に勘案し、投資銘柄を選定することにより、投資信託財産の成長を目指して運用を行う。 |
NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信(2083) | 野村アセットマネジメント |
日本の株式の中から、個別企業の調査・分析等に基づいた穂ボトムアップアプローチにより、企業のビジネスモデル、 経営戦略、財務戦略などを評価し、中長期的に高い自己資本利益率(ROE)を期待できる銘柄を中心に選定し運用を行う。 |
NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信(2084) | 野村アセットマネジメント |
日本の株式を主要投資対象とし、株式への投資にあたっては、配当利回りに着目し、高水準のインカムゲインと中 長期的な値上がり益の獲得によるトータル・リターンの追求を目指して運用を行う。 |
MAXIS 高配当日本株アクティブ上場投信(2085) | 三菱UFJアセットマネジメント |
日本の株式を主要投資対象とし、中長期的な値上がり益の獲得および配当収益の確保を目指して運用を行う。 |
アクティブ運用型ETFの特徴 #
アクティブ運用型ETFに共通する特徴は以下の通りです。
1. 投資判断の自由度 #
アクティブ運用型ETFでは、ファンドマネージャーが市場環境や経済指標を分析し、運用方針に沿って、最適なタイミングで銘柄の選定や売買を行います。これにより、指数に対して柔軟に投資戦略を調整でき、市場を上回るリターンを狙うことが可能です。
2. パフォーマンスの追求 #
指標連動型ETFは特定のベンチマーク(例:S&P 500指数や日経平均株価)に連動することを目的としますが、アクティブ運用型ETFは、ベンチマークを上回るリターンを得ることを目指したり、より高いパフォーマンスを追求したりします。
3. 手数料が指標連動型ETFより高い傾向にある #
アクティブ運用型ETFは、ファンドマネージャーが市場を分析し、銘柄選定やタイミングを判断するため、指標連動型ETFに比べて運用コストが高くなる傾向があります。これが、投資家にとっては手数料として反映されるため、長期的にはコストがパフォーマンスに影響することもあります。
4. リスクとリターンのバランス #
アクティブ運用型ETFは、指標連動型ETFよりもリスクが高くなる可能性があります。市場に対する積極的な投資戦略を取るため、リターンが向上することが期待されますが、反対に運用判断が誤ればベンチマークを下回る結果になることもあります。したがって、リスクとリターンのバランスを理解して投資することが重要です。
5. 戦略の多様性 #
アクティブ運用型ETFは、特定のセクターや地域、テーマに集中して投資する戦略などユニークな投資戦略を持つことがあります。例えば、技術革新にフォーカスしたETFや、環境、社会、ガバナンス(ESG)に配慮したETFなど、特定のテーマに基づいてポートフォリオを構成することもあります。
アクティブETFのデメリット #
アクティブETFのデメリットには、以下のような点が挙げられます。
1. 手数料が高い #
アクティブETFは、ファンドマネージャーが積極的に運用を行うため、インデックス連動型ETFに比べて手数料(信託報酬)が高くなる傾向があります。これにより、投資家の負担が増える可能性があります。
2. 運用が上手いのかそうでないのかわかりにくい #
ベンチマークのないアクティブETFでは、運用が上手いのかどうかを判断することが困難です。どれくらいのリターンを期待できるのかは不明ですし、達成されたリターンがよいものなのかどうかを判断する材料がありません。
3. ベンチマークを上回らないリスク #
ベンチマークのあるアクティブ運用型ETFは、ベンチマークを上回るリターンを目指しますが、必ずしも成功するわけではありません。場合によってはベンチマークを下回るリターンになるリスクがあります。特に市場全体が好調なときは、アクティブ運用がインデックスに勝てない場合は稀なことではありません。
4 運用方針がわかりにくい #
インデックス型ETFは、日経平均株価やS&P 500などの特定の指数に連動するので、運用方針が明確でわかりやすいですが、一方で、アクティブETFはファンドマネージャーの運用方針や戦略がこれまでにないものが多くあり、複雑でわかりにくい場合があります。
5 流動性の問題 #
インデックス型ETFに比べて、アクティブETFはまだ取引量が少ないことが多く、流動性が低い場合があります。流動性が低いと、希望する価格で売買できないリスクが高くなります。
アクティブ運用型ETFのまとめ #
アクティブ運用型ETFは、市場を上回るパフォーマンスを狙う投資家にとって魅力的な選択肢ですが、指標連動型ETFに比べてリスクやコストが高くなる可能性があります。市場の動向に合わせた柔軟な運用が可能であり、特定のテーマや戦略に基づいて投資を行いたい場合に適していますが、その分、ファンドマネージャーの判断力に依存する要素が大きくなります。特徴とデメリットを理解し、投資する際には自分のリスク許容度や投資目標に合った選択をすることが重要です。