金利の上昇の債券への影響 #
基本的に、金利の上昇は、債券の価格の下落要因となります。したがって、金利が上がれば、債券の価格(時価)は下がることになります。
金利上昇が債券に与える影響の具体的な例 #
以下、具体的な例を用いて考えてみましょう。
ここに2年後に満期を迎える2%の固定利子付の国債(以下、A債券とします)があり、価格が100円で、額面どおりの価格であるとしましょう。
このA債券に投資すると、1年ごとに利子が支払われ、1年後には2円の利子が、そして2年後の満期には、2円の利子と100円の額面の合わせて102円、合計104円がもらえます。
しかし、その1年後、金利が上昇します。そうすると、当然、その金利水準で、新たな債券は発行されます。例えば、1年後に満期を迎える固定利子付の国債が金利3%、額面と同じ100円で発行されたとしましょう(以下、B債券とします)。
このとき、どんなことが起こるのでしょう?
この時点で、1年前に発行されたA債券も、新たに発行されたB債券も満期限は同じ、1年後です。
しかし、B債券では、1年後に3%の利子がもらえますが、A債券では2%の利子しかもらえません。
もし、価格が同じ100円であるならば、A債券を選ぶ人はいません。同じ100円を払って債券を買うならば、1年後に102円をもらえるA債券よりも、103円もらえるB債券のほうが大きなリターンが得られるのですから。
そこで、A債券を売ろうとするためには、100円よりも値下げして、投資家にとって、B債券に投資するのと同じ利回り(リターン)になるような値段にしなくてはなりません。
このような仕組みで、金利が上昇すると、債券の価格が下落することになるのです。
デュレーションの値が大きい(長い)債券ほど、債券価格の金利に対する感応度が高く、金利上昇時には、より大きな値下がりが予想されます。
まとめ #
金利が上昇すると、債券の価格は下落します。これは、金利上昇に伴って新たに発行される債券がより高い利子を提供するため、利率の低い既存債券の魅力が減少するからです。そのため、既存債券を売却する際には値下げが必要になります。特に、デュレーションが長い(利回り変動に対して価格感応度が高い)債券は、金利上昇時に価格の下落が大きくなります。