ハイイールド債券 #
ハイイールド債券(High Yield Bonds)は、一般的に「ジャンク債」とも呼ばれるもので、信用格付けが低く(投資適格以下)、その分高い利回りを提供する債券のことです。利回りのことを英語でイールド(yield)と呼ぶことから、高い利回りの債券のことをハイイールド債券と呼びます。
債券の信用力とは #
債券の信用力とは、決められた利払いを継続し、償還時に元本を返済できる能力があるかどうかということです。ハイイールド債券は、この返済能力が低い債券のことです。信用力は、格付けという形で知ることができます。格付けは、債券の信用調査・分析を行う専門の格付機関が行ない、公表しています。
代表的な格付機関であるS&P Global Ratings社やムーディーズ社があります。S&P Global Ratingsの長期発行体格付で「BB」以下、ムーディーズの長期格付でBa以下の格付けを「投機的格付け」と呼び、ハイイールド債券はこの投機的格付けが付与されている債券を指します。
信用力と格付の関係 #
信用力と格付けの関係を図にすると次のようになります。信用力が低いほど、格付は低くなります。
格付と利回りの関係 #
格付が低いほど、利回りは高くなる傾向があります。信用力が低く、その結果格付が低い債券は、それだけ高い利回りを提供しないと、購入者にとって魅力がないためです。投資家は信用リスクをとる分、高い利回りを要求します。
利回りとリスクの関係 #
利回りが高い債券は、債務履行能力が低く、信用力が低いため、信用リスクが高い債券ということになります。
つまり、ハイイールド債券は、投資家にとって高い利回りを獲得できる可能性はあるものの、リスクの高い投資対象であるということです。
ハイ・イールド債券は誰が発行するのか #
ハイイールド債券を発行するのは主に、①新興諸国など信用度の低い国の政府や政府関係機関、②創業間もなく信用力の低い企業や財務状態のよくない企業です。後者をハイイールド社債と呼びます。
なぜハイイールド債券に投資するのか #
ハイイールド債券は格付けが低く、元本と金利が返済されないリスクが高いにもかかわらず、どうして投資家はそれを購入するのでしょうか。
それは、高い利回りが魅力だからです。リスクを取ってでも、高い利回りが欲しいと考える投資家がいます。世界的に見て、日本を含め先進国の金利水準は低く、先進国の国債や先進国の優良企業の発行する債券では利回りを稼ぐことが困難な時代が続いています。そのため、少しでも高い利回りを求める投資家がハイイールド債券に向かいます。
ハイイールド債券の特徴 #
ハイイールド債券の特徴をまとめると次のようになります。
- 高リスク・高リターン: ハイイールド債券は、発行体の財務状態が不安定であるため、信用リスクが高くなります。そのため、デフォルト(債務不履行)のリスクも高く、投資家はリスクを取る分だけ高い利回り(イールド)を得られる可能性があります。
- 格付け: ハイイールド債券は、格付け機関(ムーディーズ、S&Pなど)によって「投資不適格」または「投機的」とされる格付けを与えられます。具体的には、S&Pでは「BB」以下、ムーディーズでは「Ba」以下がこれに該当します。
- 利回り: 通常、国債や投資適格債券(信用格付けが高い債券)よりも高い利回りを提供します。これは、発行体が高いリスクを補うために高い利率を支払う必要があるためです。
- 発行体: ハイイールド債券は、企業が資金調達を行う手段として発行されることが多いですが、発行体の財務健全性が低かったり、新興企業であったりする場合が多いです。
ハイイールド債券のメリットとデメリット
- メリット: 利回りが高いため、成功すれば投資家に大きなリターンをもたらす可能性があります。また、株式市場との相関性が低いことがあるため、ポートフォリオの分散効果をもたらすこともあります。
- デメリット: 発行体の信用リスクが高いため、債務不履行(デフォルト)のリスクが大きい傾向にあります。また、経済状況の悪化や金利上昇時には大きく価格が下落する可能性があります。
ハイイールド債券に投資する投資信託 #
ハイイールド債券に投資する投資信託は多く存在しています。そのような投資信託をハイイールド債券ファンドと呼びます。複数に分散投資されていることとファンドマネージャーがリスク管理を行うため、ハイイールド債券の個別銘柄を購入するよりもリスクは抑えられると考えられます。
- みずほUSハイイールドオープン(年1回決算型)為替ヘッジなし
- みずほUSハイイールドオープンBコース(為替ヘッジなし)
- ピムコ・グローバル・ハイイールドF(毎月分配型)
- iシェアーズ米ドル建てハイイールド社債ETF(為替ヘッジあり)
- みずほUSハイイールドオープンAコース(為替ヘッジあり)
- モルガン・スタンレーUSハイイールド債券F(年1回決算型)(為替ヘッジなし)
- ピムコ・ハイイールドF Aコース(為替ヘッジなし)
- 欧州ハイイールド債券F(為替ヘッジなし)《ユーロ・スピリッツ》
- iシェアーズハイイールド債券インデックスF
- SBI・iシェアーズ・米国ハイイールド債券インデックスF
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