公益・インフラ債券ファンド #
公益・インフラ債券ファンドとは、公益およびインフラ関連の事業を行う企業や国・国際機関などが発行する債券に投資を行うファンドのことです。
公益・インフラ関連の事業には電力、水道、鉄道、道路、港湾、通信、エネルギー関連などの社会基盤の整備やサービスの提供を行う事業が含まれます。また、社会基盤整備のための資金調達や融資を行う金融事業が含まれることもあります。インフラとは社会基盤のことを意味する英語「infrastructure(インフラストラクチャー)」のことです。
公益関連債券の例
日本国内では、公益関連債券としては、電力会社が発行する電力債があります。例えば、関西電力では2024年に次の表のように債券を7回発行しています。
銘柄 | 発行年月日 | 発行額(百万円) | 利率(%) | 償還期限 |
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関西電力 第564回社債 | 2024年4月11日 | 12,300 | 1.101 | 2034年4月25日 |
関西電力 第565回社債 | 2024年4月11日 | 9,000 | 1.803 | 2044年4月25日 |
関西電力 第566回社債 | 2024年4月16日 | 6,300 | 1.769 | 2043年4月24日 |
関西電力 第567回社債 | 2024年5月23日 | 30,000 | 1.339 | 2034年5月25日 |
関西電力 第568回社債 | 2024年5月23日 | 8,500 | 2.002 | 2044年5月25日 |
関西電力 第569回社債 (トランジションボンド) | 2024年7月11日 | 30,000 | 0.888 | 2029年7月25日 |
関西電力 第570回社債 (トランジションボンド) | 2024年7月11日 | 15,000 | 1.560 | 2034年7月25日 |
公益・インフラ事業の特徴 #
公益・インフラ関連の事業は、公共性が高く、国民の生活に不可欠なサービスや商品を提供するものであるため、景気が悪い時でも、需要に大きな変動がなく、そのような事業を営む企業の業績は相対的に安定していると期待されています。また、財務状態が相対的に健全であるとも言われています。このような景気の変動の影響を受けにくい業種のことを、金融市場ではデフェンシブ・セクターと呼びます。
公益・インフラ債券の特徴 #
公益・インフラ債券には次のような特徴があります。
1. 発行主体
- 公益・インフラ債券は、通常、電力会社などの公益企業、政府機関や地方自治体、公共機関、または特定のインフラプロジェクトを実施するために設立された特別目的会社(SPV)によって発行されます。
- 公共の福祉やインフラ整備を目的としているため、一般的に、発行体は信用力が高いとされています。
2. 用途
- これらの債券で調達された資金は、インフラストラクチャーの建設や維持に使用されます。例えば、道路、橋、上下水道、電力網、病院、学校、公共交通機関などの公共インフラプロジェクトです。
- また、再生可能エネルギーや持続可能なインフラ事業(風力、太陽光、スマートグリッドなど)に資金が充てられるケースも増加しています。
3. リスクと信用度
- 信用度が高い: 公益・インフラ債券の発行体は通常、政府機関や自治体であるため、信用リスクが低い場合が多いです。ただし、プロジェクトの性質や発行体の財政状態によってリスクが異なります。
- リスクの分散: 公益事業やインフラ事業は長期にわたるものが多く、安定的な収益が見込めることから、投資家にとって比較的安定した資産と見なされます。
4. 利回り
- 公益・インフラ債券は、安定した利息収入を提供することが多く、特に長期にわたって一定のキャッシュフローが得られるという特徴があります。
- ただし、リスクが低いため、一般的には企業債券やハイイールド債券と比較すると利回りは低めです。
公益・インフラ債券の動向 #
世界の公益・インフラ債券の動向は、ダウ・ジョーンズ・ブルックフィールド・グローバル・インフラストラクチャー社債総合指数(Dow Jones Brookfield Global Infrastructure Broad Market Corporate Bond Index)などの債券指数で知ることができます。ダウ・ジョーンズ・ブルックフィールド・グローバル・インフラストラクチャー社債総合指数は世界各国のインフラ関連企業が発行した社債のパフォーマンスを測定することを目指す指数で、S&P Global社が算出・公表しています。
公益・インフラ債券ファンドの例: #
多くの公益・インフラ債券ファンドが運用されています。インドのように特定の国のインフラ債券に投資するファンドや世界各国のインフラ・公益債券に分散投資するファンドがあります。
ファンド名 | 投資対象 |
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イーストスプリング・インド公益インフラ債券F(年2回決算型) | インドの公益・インフラ企業の債券 |
三井住友・公益債券投信(毎月決算型) | 世界各国の公益企業・公社が発行する債券 |
DWSグローバル公益債券F(年1回決算型)Dコース(為替ヘッジなし) | 世界各国の公益企業・公社が発行する債券 |
UBS公益・金融社債F(年1回決算型・為替ヘッジあり)《わかば年1》 | 世界の公益関連企業および金融機関が発行する債券 |
三菱UFJ/マッコーリーグローバル・インフラ債券F F(年1回決算型) | 世界のインフラ関連企業が発行する米ドル建て債券 |
公益・インフラ債券ファンドのまとめ #
公益・インフラ債券ファンドは、電力、水道、道路などのインフラ事業を行う企業や公的機関が発行する債券に投資するファンドです。インフラ事業は景気変動の影響を受けにくく、発行体の信用度も高いことが多いため、比較的安定した利息収入が期待できます。投資対象は各ファンドによって異なり、世界の公益・インフラ関連企業の債券に分散投資するタイプが一般的です。