物価連動国債ファンド #
物価連動国債ファンド(Inflation-Linked Bond Fund)とは、物価連動国債に投資する投資信託のことです。物価連動国債は、通常の国債と異なり、インフレ(物価上昇)に連動して元本や利子が変動する国債です。この特性を活かして、物価変動に対するリスクヘッジを行うことができるファンドです。
物価連動国債の仕組み #
物価連動国債は、元本が消費者物価指数(CPI)の変動に応じて調整されます。物価が上昇すると元本も増加し、逆に物価が下がると元本が減少します。利息は、元本に一定の利率を掛けて支払われるため、物価が上昇すれば利息も増加します。
物価連動国債ファンドの特徴 #
- インフレに対するヘッジ効果
物価連動国債ファンドは、インフレによって実質的な購買力が低下するリスクに対するヘッジ手段として機能します。物価が上昇する環境下では、通常の債券の価値は目減りする傾向がありますが、物価連動国債は物価上昇に伴い元本や利息も増加するため、インフレリスクを軽減できます。
- 低リスク・低リターン
物価連動国債は、政府が発行するため、信用リスクが低く、安定した投資対象といえます。そのため、一般的に安定的な運用が期待されますが、リターンもそれほど高くはありません。
- デフレリスク
物価連動国債は、物価が下がる(デフレ)局面では、元本が減少し、利息も減少します。そのため、デフレ環境下では、通常の債券よりもリターンが悪化する可能性があります。ただし、物価が下がっても、償還時(満期時)には元本が保証されます。つまり、物価下落によって一時的に元本が下がったとしても、満期時には額面金額(元本)が保証され、元本割れで償還されることはありません。
- インカムゲイン
物価連動国債ファンドは、利息収入(インカムゲイン)を目的とした投資家にも適しています。利息は元本に対して支払われ、物価上昇時には元本の増加に伴って利息も増加します。
- 国ごとの物価連動国債
各国が発行する物価連動国債に投資するファンドが存在します。たとえば、日本の物価連動国債(日本政府発行)に投資するファンドや、アメリカの物価連動国債(TIPS: Treasury Inflation-Protected Securities)を投資対象に含めているファンドがあります。
物価連動国債ファンドの例 #
2024年10月現在、次の物価連動国債ファンドが運用されています。ファンド名をクリックすると、投資信託協会のサイトでファンド情報をご覧いただけます。
ファンド名 | 運用会社 |
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日本物価連動国債F | 大和アセットマネジメント |
東京海上セレクション・物価連動国債《うんよう博士》 | 東京海上アセットマネジメント |
東京海上・物価対応バランスF(年1回決算型)《インフレ・ファイター》 | 東京海上アセットマネジメント |
東京海上・物価対応バランスF(毎月決算型)《インフレ・ファイター》 | 東京海上アセットマネジメント |
DCダイワ物価連動国債F | 大和アセットマネジメント |
MHAM物価連動国債F《未来予想》 | アセットマネジメントOne |
eMAXIS国内物価連動国債インデックス | 三菱UFJアセットマネジメント |
物価連動国債ファンドのまとめ #
物価連動国債ファンドは、物価連動国債に投資することで、インフレヘッジを目指す投資信託です。安定した運用を望む投資家や、インフレによる資産の目減りを防ぎたい投資家にとって、リスクを抑えた投資先として魅力的な選択肢です。ただし、デフレ環境下では元本が減少するリスクもあるため、投資環境を見極めた上で運用する必要があります。