ゴールドファンド #
ゴールドファンドと呼ばれる投資信託には、①金関連の企業の株式に投資する投資信託と、②実際に金や金先物に投資して、金価格に連動する成果を目指す投資信託があります。
①金関連の企業の株式に投資する投資信託 #
金関連の企業の株式を主な投資対象としている投資信託とは、南アフリカ、オーストラリア、米国を中心とした金の発掘、加工、売買に携わる企業の株式を対象とする投資信託のことです。このような株式を金鉱株と呼びます。
金鉱株の例
- Gold Field (南アフリカ)
- Aurion Gold (オーストラリア)
- Harmoney Gold Mining (南アフリカ)
- Lihir Gold (オーストラリア)
- Newcrest Mining (オーストラリア)
- Minas Buenaventura (ペルー)
②金や金価格に連動する投資成果を目指す投資信託 #
①が株式に投資するのに対して、実際に金の現物に投資したり、金先物などに投資したりして、金価格の値動きに連動した投資成果を目指す投資信託(ETF)もあります。このようなETFをゴールドETFと呼びます。
金に投資する投資信託(ETF)の例
- NEXT FUNDS金価格連動型上場投資信託(1328)
- SPDR ゴールド・シェア受益証券 (1326)
- WisdomTree金上場投資信託 (1672)
- 純金上場信託(金の果実)(1540)
ゴールドファンドのメリット #
インフレヘッジ #
金は伝統的にインフレヘッジとして利用されてきました。インフレにより物の価格が上昇し、通貨価値が下落するような状況でも、金の価格はインフレにスライドして上昇する傾向にあるためです。このため、金に投資する投資信託はインフレヘッジ効果が期待できると考えられています。
金鉱株も、金価格に連動するため、金の価格が上昇すると、金を生産する企業(つまり金鉱株)も利益が増え、その株価が上昇する可能性が高まります。また、金鉱関連企業は、金の生産コストが一定である場合、インフレにより金の市場価格が上昇すると、利益率が拡大します。これにより、金鉱株のパフォーマンスが改善することがあります。特に金価格が上昇する局面では、金鉱株の株価もインフレ環境下で恩恵を受けやすいといえます。
ただし、金鉱株は単純に金価格に連動するだけでなく、企業自体の経営や生産コスト、政治リスクなど、他の要因にも影響を受けます。そのため、金自体ほどの「純粋な」インフレヘッジにはならない可能性があります。
投資分散効果 #
金の価格は伝統的な投資対象(株式や債券など)との相関関係が低く、このため、金をポートフォリオに組入れることで分散が図られ、リスク低減に繋がります。
安全資産としての役割 #
金は、地政学的リスクや金融市場の不安定さが高まる時期に「安全資産」として選ばれることが多くあります。経済危機や通貨の急落、金融市場の混乱時には、投資家が金に逃避する傾向があり、ゴールドファンドもその恩恵を受けます。
流動性の高い投資 #
ゴールドファンドは、金そのものに投資するよりも流動性が高い場合があります。個別に金の現物を保有する代わりに、ファンドを通じて間接的に金に投資することで、資金の引き出しや売買が容易になります。
少額投資が可能 #
金の現物投資や金鉱株の個別購入に比べて、ゴールドファンドでは少額から投資が可能です。これにより、幅広い投資家層が金市場にアクセスでき、資産形成の一環として金を取り入れやすくなります。
米国で最初のゴールドファンド #
米国で最初に設定されたゴールドファンドは Van Eck社の創設者であるJohn C. Van Eck氏(1915-2014)によって1956年に2月10日に設定されたファンド(現在の「International Investors Gold Fund」)であると言われています。「International Investors Gold Fund」は、資産の少なくとも25%を金鉱株に投資し、少なくとも3カ国以上の国の株式に分散投資を行い、資産の50%は米国以外の国の株式が占めています。また、資産の12.5%までを金・銀の現物に投資します。2024年現在も運用が継続されています。
ゴールドファンドのまとめ #
ゴールドファンドは、金関連の企業株や金の現物・先物に投資するファンドで、インフレヘッジや分散投資効果が期待できます。金鉱株ファンドは金鉱関連企業に投資し、金価格の上昇による株価上昇の可能性があり、金連動型ファンド(ゴールドETF)は金価格そのものに連動します。また、ゴールド・ファンドは安全資産としての役割や流動性の高さ、少額投資が可能である点も魅力です。