「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2016」が発表された。第1位はニッセイアセットマネジメントが運用する「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」が獲得した。同ファンドは3年連続での1位獲得となった。第2位は、アセットマネジメントOneが運用する「たわらノーロード先進国株式」が、第3位はザ・バンガード・グループ・インクが運用するETFの「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」が各々受賞した。また、今回は、特別賞が、マザーファンドを同一とする3本のファンド(ひふみ投信、ひふみプラス、ひふみ年金)の獲得ポイント合計が2位のファンドを上回ったレオス・キャピタルワークスに授与された。
「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2016」とは、投資信託について一般投資家の目線でつねに考え、情報を集め、ブログを書いている投信ブロガーたちが支持する投資信託はどれか、証券会社の宣伝やうたい文句にまどわされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投信ブロガーたちが投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」というイベント。ボランティア有志による運営委員会と投票を行う投資信託のブロガーによって実現されている。今年で10回を迎えた。
順位
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ファンド名/運用会社 | 資産 | ポイント数 |
1位 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド/ニッセイアセットマネジメント | 先進国株式 | 146 |
2位 | たわらノーロード先進国株式/アセットマネジメントOne | 先進国株式 | 55 |
3位 | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF (VT)/ザ・バンガード・グループ・インク | 世界株式(日本含む) | 42 |
4位 | iFree 8資産バランス/大和証券投資信託委託 | バランス | 36 |
5位 | セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド/セゾン投信 | バランス | 35 |
6位 | ひふみ投信/レオス・キャピタルワークス | 日本株式 | 30 |
7位 | ひふみプラス/レオス・キャピタルワークス | 日本株式 | 25 |
8位 | 世界株式インデックスファンド/三井住友トラスト・アセットマネジメント | バランス | 23 |
9位 | <購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド/ニッセイアセットマネジメント | 日本株式 | 21 |
10位 | セゾン資産形成の達人ファンド/セゾン投信 | 世界株式(日本含む) | 20 |
今回で10回目となる投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Yearの発表は、2017年1月14日に東京都内で開催され、定員160人の会場はブロガー、受賞関係者、ボランティア、マスコミ関係者で満席となった。また、サプライズで、森信親金融庁長官から寄せられたメッセージが公表された。森長官のメッセージは次の通り。
「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2016」の開催によせて
「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2016」の開催にあたり一言ご挨拶を申し上げます。
皆様もご存知のとおり、日本の家計金融資産は、現在では1,700兆円を超えるに至りました。
我が国において高齢化や人口の減少が進む中、長年にわたり蓄積された資産を安定的に増やしていくことは、より重要な課題となっています。
しかし、現状では、かつてない低金利の中にありながら、家計金融資産の過半が預金に置かれており、そこから得られるリターンは極めて低い状況です。なぜ日本人の間で投資による資産形成が普及していないのかを考えてみると、その理由のひとつに、「投資の成功体験」が広く共有されてこなかったこと、が挙げられると思います。
その背景には、金融商品を提供する金融機関が、手数料収入の獲得を重視するあまり、そのときどきの流行に乗ったテーマ型で売りやすい投資信託や過度に仕組みが複雑な商品の組成・販売に注力し、かつ、そうした商品の短期・回転売買を勧めてきたことなどがあるのではないでしょうか。
しかし、プロの投資家ではない個人がそうした商品の売買のタイミングを見極めることは難しいことです。また、仮にうまくタイミングが合って値上がりしたとしても、そこから高い手数料を支払っていては、満足のいく投資リターンは期待できません。
むしろ、積立により投資の時間軸を分散させつつ、良質で投資対象が分散された投資信託への投資を長期に継続していくことが、成功体験につながるのではないでしょうか。金融庁では、家計の安定的な資産形成に資するため、投資リテラシーの向上や「積立NISA」の創設・普及を通じて少額からの長期・積立・分散投資を後押しするとともに、金融機関に対しては、顧客本位の業務運営、いわゆるフィデューシャリ―・デューティーの確立・定着を図るべく、取組みを進めていきます。
また、金融機関の行動や組成・販売する商品を顧客にとってより見えやすく、わかりやすくすることで、投資商品の質や金融機関の取組みが顧客から正当に評価され、より良い商品や取組みが自ずと顧客に選択されていくメカニズムを構築していきたいと考えています。
同時に、良質な投資商品を普及させる上で、投資家自身が投資信託の質の向上に向けた取組みを進めていくことは、とても有意義だと考えます。皆様には、投資を行う顧客の目線に立って、投資商品を客観的・公平に評価し、広く発信していく運動を更に深化させていただければ幸いです。最後になりましたが、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」の益々のご発展を祈念いたしますとともに、今後とも、金融行政に対し、個人投資家の皆様からの忌憚なきご意見を頂戴できますよう、この場を借りてお願い申し上げ、私からの挨拶とさせていただきます。
2017年1月14日
金融庁長官 森 信親