プライベートバンカーというと、富裕な個人や家族に対して特別な資産運用・財産管理サービスを提供するスイスの銀行を思い浮かべますが、日本においても、プライベートバンカー資格と呼ばれる資格制度があります。
プライベートバンカー資格 #
日本のプライベートバンカー資格(PB)は、富裕層を対象に、ファミリーの資産保全・事業承継・相続を支援するために、包括的な金融サービスを提案・実行支援する専門家のことです。
この専門家を養成するために、公益社団法人日本証券アナリスト協会が教育プログラムを提供し、資格試験を実施しています。この資格試験に合格した人に与えられるのが「プライベートバンカー」資格です。資格制度は2013年に開始されました。
プライベートバンカー資格は初級の「PBコーディネーター」、中級の「プライマリーPB」、上級の「シニアPB」の3段階から成り立っています。受講者の多くは銀行や証券会社に勤務する人やIFAです。また、資格取得後も、一定の継続学習が必要とされています。
プライベートバンカー教育で学ぶ内容 #
- リレーションシップ・マネジメント・・・顧客との信頼関係を構築するために必須のノウハウ。
- ウェルスマネジメント・・・企業・市場分析、資産運用・管理、相続・事業継承について。
- 不動産・・・不動産取引の留意点と不動産投資、関連税制、法令制限、不動産の相続や贈与、海外不動産、不動産を取り巻く経済環境など。
- 税金・・・日本の税法体系、個人の税法体系、法人の税法体系、消費税、個人および法人の国際税務 、相続・贈与に関する日米の事例、タックスプランニングなど。
- 信託・エステートプラニング・・・信託の活用、成年後見制度、エステートプランニング、富裕層へのリーガルサービスなど富裕層の資産を安定的に運用し、次世代への円滑な承継を支援する方法について。
- マス富裕層・・・従来のプライベートバンクでは十分にサポートされなかった富裕層に準ずる顧客層へのサービス強化について。
- 職業倫理・・・強い自己抑制・顧客への最善を自発的に尽くすことについて。
プライベートバンカーの業務内容 #
プライベートバンカーは、富裕層の個人や家族の財産管理、投資戦略の策定、税務および相続計画などを担当します。以下のような業務が含まれます:
- 資産管理・投資アドバイス: 資産の保全と成長を目指し、投資先の提案や資産配分戦略の策定。
- 税務・相続計画: クライアントの税負担を最小化し、資産を次世代に効果的に承継するためのプランニング。
- リスク管理: 保険やその他のリスク管理手段を活用して、財産の保全を図る。
プライベートバンカー資格を持つことで、これらの業務に対して専門的な知識とスキルを持っていることが証明され、信頼性を高めると考えられています。
プライベートバンカー資格のまとめ #
プライベートバンカー資格は、日本の富裕層向けに資産運用、事業承継、相続支援などの包括的金融サービスを提供する専門家のための資格です。公益社団法人日本証券アナリスト協会が教育・試験を行い、初級から上級まで3段階の資格があります。プライベートバンカーは、顧客の財産管理や投資戦略、税務・相続計画などを支援する役割を担い、専門知識とスキルを証明することで信頼性を高めます。