個人投資家にとって、ETFの最大のメリットは分散投資を低い手数料で実現できることにあると考えられています。では、機関投資家も同じ理由でETFを活用しているのでしょうか。
東京証券取引所が機関投資家542社を対象に実施し、2017年2月に公表した「ETFに係る投資状況の調査」によると、調査に回答した542社のうち約60%に相当する325社がETFに投資していると回答しています。では、機関投資家はETFのどこがメリットであると考えているのでしょうか。
ETFの最大のメリットは「機動的な売買が可能」
同調査のETFに投資するメリットについての質問では、分散投資の手軽さ、機動的な売買が可能、信託報酬の低さ、ポートフォリオの透明性、インサイダー規制の対象外であるため、その他という選択肢(複数回答)の中で、最も回答が多かったのは、「機動的な売買が可能」で、ETFに投資していると回答した325社中約89%に相当する290社がこれをETFに投資するメリットとして挙げています。
「分散投資の手軽さ」は機関投資家にとっても大きなメリット
次にETFのメリットとして回答が多かったのは「分散投資の手軽さ」でした。ETFに投資している325社の約60%相当する202社が、ETF投資のメリットとして「分散投資の手軽さ」を挙げています。
信託報酬について
信託報酬の低さをメリットとして選択したのは325社中130社でした。個人投資家にとってはETFの信託報酬の低さは非常に大きなメリットですが、運用資金が大きな機関投資家にとっては、私募投信など、低コストの投資対象が他にも存在しています。また、資金があるため信託報酬のかからない現物株式でポートフォリオを組むことが可能であるので、個人投資家ほど信託報酬の低さをメリットとして感じていないのかもしれません。
インサイダー規制
わずか5社ではあったものの、ETFがインサイダー規制の対象外であることをETFのメリットとして挙げている機関投資家がいました。インサイダー規制とは、入手した情報が未公開のものであることを知りながら、それに基づいて行う有価証券の取引を禁止するものです。しかし、一般の投資信託もETFも、基本的にはインサイダー取引の対象ではなく、それをメリットであると考える機関投資家が存在するということです。