適合性の原則とは #
適合性の原則は、金融商品を提供する際に、提供する側が、顧客の知識・経験・財産の状況や契約締結の目的と照らして不適当な勧誘を行なったり、投資者保護に欠けたりすることのないようにしなければいけないというルールです。つまり、一人ひとりの投資家に合った商品を提供しなければいけないという原則です。適合性の原則は、顧客を保護し、金融市場の健全性を保つための重要な規制なのです。
例えば、投資初心者に特殊型と言われるブルベア型の投資信託を販売する、高齢の投資家に複雑な仕組みの通貨選択型投資信託を販売する、投資経験の乏しい人に対して、詳しい説明を行わないまま信用取引を勧める、といった行為は、適合性の原則に違反している可能性があります。
金融商品取引法における適合性の原則 #
金融商品取引法では、適合性の原則は、次のように定められています。
【適合性の原則(金融商品取引法第40条第1号)】
○ 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が、次に該当することのないように、業務を行わなければならない。
(1)金融商品取引行為について、
(2)顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして、
(3)不適当と認められる勧誘を行って投資者保護に欠け、又は欠けるおそれがあること
罰則 #
金融機関が適合性の原則に違反した場合、次の罰則が課せられます。
○ 行政法⇒行政処分(金融商品取引法第52条第1項第6号)
○ 民事法⇒損害賠償請求(金融商品販売法第5条等)
適合性の原則の基本的なポイント #
- 顧客の状況把握: 金融機関や証券会社は、顧客の財務状況、投資目的、年齢、投資経験、リスク許容度などの情報を事前に収集し、適切に把握する必要があります。
- 適切な商品提供: 顧客の状況に基づき、リスクや複雑さが顧客に適していると判断される金融商品を提供する必要があります。たとえば、リスクを避けたいと考える顧客に対しては、高リスクな商品を勧めることは不適切です。
- リスクの説明義務: 顧客に提供する金融商品のリスクについて、正確かつ十分に説明し、顧客が理解したうえで取引を行うように努めなければなりません。
- 適合性違反: もし適合性の原則に違反した場合、顧客に損害が発生した際には金融機関や証券会社が法的責任を問われることになります。
適合性の原則まとめ #
適合性の原則は、金融商品提供者が顧客の知識や財務状況、投資目的に合った商品を勧めるよう義務付ける規則です。顧客にリスクを十分に説明し、不適切な勧誘を避けることで投資者保護と市場の健全性を確保することを目的としています。違反があった場合、行政処分や損害賠償請求の対象となることがあります。