投資信託を保有している投資家(受益者)には①収益分配金に対する請求権、②償還金に対する請求権、③受益証券の一部解約請求権、④帳簿閲覧権、⑤信託約款の重要な内容の変更等に係る異議申立権が与えられています。ここでは、委託者指図型投資信託について説明しています。
①収益分配金に対する請求権 #
委託会社が支払いを決定した収益分配金を持分に応じて請求する権利のことです。
収益分配金は、毎計算期の終了日後1ヵ月以内の委託会社の指定する日(原則として計算期間終了日から起算して5営業日目)から受益者に支払われます。
収益分配金の支払は、販売会社等の営業所等において行なわれます。受益者が収益分配金について支払開始日から5年間その支払を請求しないときは、その権利を失い、委託会社が受託会社から交付を受けた金銭は委託会社に帰属することになります。
②償還金に対する請求権 #
ファンドの償還金を持分に応じて請求する権利のことです。
償還金は、信託終了日後1ヵ月以内の委託会社の指定する日(原則として償還日(休業日の場合は翌 営業日)から起算して5営業日以内)から、販売会社において、受益者に支払います。 ただし、受益者が、償還金について支払開始日から 10 年間その支払いの請求を行わない場合はその権 利を失い、その金銭は委託会社に帰属します。
③受益証券の一部解約請求権 #
ファンドの受益証券の一部解約を販売会社等を通じて委託会社に請求する権利のことです。ファンドの換金は、通常この解約請求権の実行により行なわれます。解約の請求は、原則として販売会社の営業日の午後3時までに、販売会社所定の方法で行われます。 解約請求が行われ、かつ当該換金請求に係る販売会社所定の事務手続きが完了したものを当日の受付分とされます。
④帳簿閲覧権 #
受益者が、委託会社に対して、その営業時間内にファンドの信託財産に関する帳簿書類の閲覧を求めることができる権利のことです。
投信法において、投資信託委託会社は、投資信託財産の状況やその他業務に関する帳簿書類を作成し、保存することが義務付けられており、受益者は、投資信託委託会社に対し、その営業時間内であれば、保有する投資信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写を請求する権利が認められています。
⑤信託約款の重要な内容の変更・信託契約の解約に係る異議申立権 #
委託会社は信託の終了など個別の投資信託についての重要な内容の変更等を行なう場合には、新聞等への掲載を通じて広く受益者に告知することが義務付けられていますが、このような変更内容に対して、所定の期間内に異議を述べる権利を信託約款の重要な内容の変更・信託契約の解約に係る異議申立権といいます。また、異議を述べた受益者は、受託会社に対して、自己の有する受益証券を公正な価額で信託財産をもって買い取るべき旨を請求することができます。
これは投資信託における重要な権利で、信託契約の重大な変更に対する異議申立権は、受益者保護のために設けられています。
受益者の権利まとめ #
投資信託の受益者には、次の5つの権利があります。①収益分配金や②償還金を請求する権利、③一部解約請求権、④ファンドの帳簿閲覧権、⑤信託契約の重大な変更に対する異議申立権です。これらは、受益者の利益を守り、信託財産の透明性を確保するために設けられています。