ファンド・オブ・ファンズ #
ファンド・オブ・ファンズは、一般的な投資信託とは異なり、株式や債券などに直接投資するのではなく、他の投資信託に投資する仕組みの投資信託です。簡単に言えば、他の投資信託に投資する「投資信託」となります。ファンド・オブ・ファンズは、投資先を通じて、株式や債券に間接的に投資します。
ファンド・オブ・ファンズのメリット #
ファンド・オブ・ファンズのメリットとしては分散投資効果が高まる、日本からアクセスしにくい市場への投資が可能、専門的な運用会社のファンドを利用できる、柔軟な資産配分の変更が可能なことが挙げられます。
1. 分散投資効果が高まる #
ファンド・オブ・ファンズは、複数の投資信託に投資することで、直接株式や債券に投資するファンドよりもさらに幅広い分散が可能になります。これにより、リスクを低減する効果が強化されます。
例えば、運用規模が100億円の投資信託が世界の株式、債券、不動産に等金額ずつ分散投資しようとしても、各資産への投資規模は33億円程度です。33億円では十分な分散投資は難しいことがあります。しかし、33億円をそれぞれ1,000億円規模のファンドに投資すれば、33億円で1,000億円の分散投資と同じ分散効果を実現できます。
2. 日本からアクセスしにくい市場への投資が可能 #
日本から直接投資が難しい海外の株式や債券市場にも、ファンド・オブ・ファンズを通じてアクセスできることがあります。
例えば、その地域や国の投資を得意とする運用会社や現地の運用会社が運用するファンドに投資することで、直接アクセスしにくい市場への投資をより容易に実現することができます。
3. 専門的な運用会社のファンドを利用できる #
ファンド・オブ・ファンズを使えば、特定分野で高い専門性を持つ運用会社のファンドに投資できます。例えば、債券投資に強い運用会社や、特定地域での運用が得意な会社、特定の投資戦略に長けた運用会社のノウハウを活かすことができます。
4. 柔軟な資産配分が可能 #
株式や債券に直接投資している場合、資産配分を変更するには銘柄の選定や売買が必要ですが、ファンド・オブ・ファンズなら、投資先ファンドの配分を変更するだけで、簡単に資産配分の調整が可能です。例えば、株式から債券へのシフトも、投資先のファンドを変更するだけで実現できます。
このメリットを利用しているのがターゲットイヤー型ファンドと呼ばれるファンドです。ターゲットイヤー型ファンドは、特定の年(ターゲット・イヤー=target year)に向けて、投資家のリスク許容度に応じた資産配分を調整する仕組みです。一般的には、ターゲットイヤーが近づくにつれて、リスクの高い株式から、リスクの低い債券へ資産をシフトさせていきます。
ターゲットイヤー型ファンドは、ファンド・オブ・ファンズを利用することで、各資産クラス(株式、債券、不動産投資信託、短期金融商品など)に投資するファンドの割合を調整するだけで、簡単かつ効率的に資産配分を変更できます。つまり、個別の株式や債券を売買する手間やコストを省きながら、ターゲットイヤーに向けたリスク調整が柔軟に行えるのです。
ファンド・オブ・ファンズのデメリット #
ファンド・オブ・ファンズには上記のようなメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
1. 二重の信託報酬 #
ファンド・オブ・ファンズでは、ファンド自体の信託報酬に加えて、投資先の各ファンドの信託報酬もかかるため、コストが高くなることがあります。このため、長期的には投資リターンが削減されるリスクがあります。
2. 投資内容の把握が難しい #
ファンド・オブ・ファンズは、複数の投資信託に投資するため、投資家にとって全体像を把握しにくくなります。全体として、どの業種にどれくらい投資されているのかを把握したり、基準価額の変動要因を理解したりするのが難しい場合があります。
3. 投資先ファンドのパフォーマンスに依存 #
ファンド・オブ・ファンズの運用成績は、投資先のファンドのパフォーマンスに左右されます。投資先のファンドが期待通りの成果を上げなかった場合、ファンド・オブ・ファンズ全体のパフォーマンスも影響を受ける可能性があります。
まとめ #
ファンド・オブ・ファンズは、分散投資や専門的な運用会社を利用できるという点が魅力ですが、コストの増加や透明性の低下といったデメリットもあります。投資家は、これらのメリットとデメリットをよく理解し、自分の投資目標やリスク許容度に合わせた選択を行うことが重要です。