ベア型の投資信託 #
ベア型の投資信託は、市場や特定の指数が下落すると利益を得られるように設計された投資信託です。一般的に「ベア(Bear)」とは、市場が下落することを期待する投資家のことを指します。ベア(Bear)は熊を意味する英語です。これに対して、市場が上昇することを期待する投資家は「ブル(Bull)」と呼ばれます。ブル(Bull)は雄の牛のことです。ベア型の投資信託は、「インバース型」とも呼ばれます。「インバース」は英語の「inverse」に由来し、「逆」や「反対」という意味があります。
市場が下落すると利益を得るというのは、例えば、東証株価指数を対象としているベア型投資信託であれば、東証株価指数が前日に比べて下落すると、基準価額が上昇するということです。東証株価指数が前日に比べて1%下落したら、ファンドの基準価額は前日に比べて概ね1%上昇する仕組みです。一方で、東証株価指数が上昇したら、ファンドの基準価額は下落します。
ベア型の投資信託は、市場が下落した場合に利益を得ることを目的としており、その運用戦略は主にデリバティブ(先物取引契約など)を活用します。また、ベア型ファンドは、市場の下落期におけるヘッジ手段として利用されることが多く、投資家は市場の下落から自身のポートフォリオを守るために使用することがあります。
レバレッジの使用 #
一部のベア型ファンドは、先物契約などのデリバティブを利用してレバレッジをかけて、リターンを増大させます。レバレッジをかけたベア型ファンドは、一般的には市場の下落に対して何倍ものリターンを提供することができます。例えば、レバレッジがかかっていないベア型ファンドは、市場が1%下落した場合、ファンドは1%のリターンを得ます。しかし、2倍レバレッジのかかったファンドの場合、市場が前日に比べて1%下落すれば、ファンドのリターンは前日に比べて+2%になります。ただし、これは市場が予想通りに動いた場合の話であり、予想とは異なる動きがあった場合にはより大きな損失を被ることになります。
ベア型ファンドの利用上の注意点 #
- 高リスク・・・市場が予想と反対に上昇した場合、ベア型ファンドは大きな損失を被る可能性があります。市場が下落すると利益を得られるように設計された投資信託ですので、市場が上昇した場合には損失を被ります。
- 市場の予測が必要・・・市場や特定の資産クラスの動向を正確に予測することは困難であり、ベア型ファンドを効果的に利用するためには高度な市場分析とタイミングの見極めが必要です。
- 投資目的との整合性・・・ベア型ファンドは、主に市場の下落期における短期的な投資戦略やヘッジ手段として有効ですが、長期投資の目的には不向きです。
ベア型ファンドは、市場の下落を予測する投資家にとって魅力的な選択肢を提供しますが、その利用には高いリスクが伴い、市場分析の精度が要求されます。投資前には、自身のリスク許容度、投資期間、および市場見通しを慎重に検討することが重要です。
ベア型ファンドの種類 #
ベア型の投資信託にはいくつかの種類があります。以下に代表的な種類を紹介します。
- インバース型投資信託
これは特定の指数や市場の動きと逆の動きをするように設計された投資信託です。例えば、日経平均株価が前日比で1%下がると、基準価額が1%上昇するように運用されます。
- ダブルインバース型投資信託
これはインバース型の動きを2倍にしたものです。つまり、市場が前日比で1%下がると、この投資信託の基準価額は2%上昇するように設計されています。高リスク・高リターンの特徴があります。
- トリプルインバース型投資信託
これはインバース型の動きを3倍にしたもので、市場が前日比で1%下がると基準価額が3%上昇するように設計されています。非常に高リスクで短期投資向けです。
この他にも、4.3倍型のベア型ファンドも登場しています。
ベア型の投資信託のまとめ #
ベア型の投資信託は、市場や特定の指数が下落すると利益を得られるように設計された投資信託です。市場の下落を予想する投資家にとって有益ですが、予想に反して市場が上昇すると大きな損失を被るリスクが伴います。極めてリスクの高い投資対象です。