日銀のETF買い入れ #
日銀のETF買い入れとは、公開市場操作において日本銀行が市場からETFを買い入れて資金を供給することです。この政策は2010年に開始され、2024年に終了しました。
日銀の金融政策の理念 #
日本銀行の金融政策の理念は「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」です。その時々の経済情勢を鑑み、この物価の安定を図るために日本銀行は金融政策を運営しています。金融政策の基本方針は金融政策決定会合と呼ばれる会合で決定されます。この会合は毎月1回~2回開催され、経済・金融情勢を検討し、金融市場調節方針や当面の金融政策の運営方針を決定します。この決定に基づいて日本銀行の金融調節が行われ、その一つが公開市場操作と呼ばれるものです。
公開市場操作 #
公開市場操作(オペレーション)とは、日本銀行が金融市場において民間金融機関と行う国債等の売買や資金貸付などの取引のことです。金融緩和のために市場に資金を供給する「資金供給オペレーション」と、金融引き締めのために市場から資金を吸収する「資金吸収オペレーション」があります。前者では日銀が国債等を買い入れるため「買いオペレーション(買いオペ)」、後者は日銀が国債等を売却するため「売りオペレーション(売りオペ)」と呼びます。
資金供給オペレーションの種類 #
資金供給オペレーションには、購入対象の違いによりいくつかの種類があり、例えば共通担保資金供給オペ、CP等買現先オペ、国債買現先オペ、国庫短期証券買入オペ、国債買入オペ、CP・社債買入オペ、そしてETF・J-REIT買入オペがあります。日銀のETF買い入れは、このETF買入オペに該当し、日本銀行が市場からETFを買い入れて市場に資金を供給することで、金融緩和を促す施策です。
ETF買い入れは2010年12月に開始されましたが、2024年3月19日の金融政策決定会合で日本銀行は17年ぶりに利上げを決定し、同時にETFおよびREIT(不動産投資信託)の新規買い入れの終了を発表しました。これにより、以降の買い入れは行われなくなりました。
今後の課題 #
日銀のETF買い入れは終了しましたが、2024年までに日銀は37兆円を超えるETFを買い入れており、含み益を含めると巨額のETFを保有しています。将来的にこの資産をどのように処理するかは不透明です。もし日銀がこれらの資産を売却し始めた場合、市場に過度な売り圧力がかかるリスクが懸念されています。