スマートベータ戦略とは #
スマートベータ戦略とは、市場平均で得られる収益に対して、さらに一定のルールによる選別を行うことで、より高いリターンやよりより低い価格変動(ボラティリティ)といった優れた実現を目指す投資戦略のことです。
たとえば、日本株式であれば、TOPIXのような一般的な市場平均インデックスに対して、「より高い配当を出す」、「より高い自己資本利益率(ROE)を達成した」などの条件を加味した指標に基づいて運用を行うものや、過去の値動きデータから、「値動き幅の大きな銘柄の組み入れを抑制・除外」した指標に基づいて運用するなどの戦略があります。このような条件や指標をファクターと呼びます。
この場合、前者の戦略では、市場平均に対して、より優れた特徴を持つ企業に投資をすることで、より高い収益を目指しており、後者の戦略では、値動きの激しい銘柄への投資をひかえることで、価格変動リスクを抑えながら、市場全体並の収益を得ようという狙いがあるといえます。
この市場平均(これを「β(ベータ)」と呼ぶことが多い)よりも一定程度賢く(スマート)に投資をしようという戦略がスマートベータ戦略です。
スマートベータ戦略の特徴 #
スマートベータ戦略は、時価総額加重以外の基準(ファクター)でポートフォリオを構築する点が特徴です。代表的なファクターには以下が含まれます。
- バリュー(Value):割安な株式を選び、長期的なリターンの向上を目指す
- サイズ(Size):小型株(時価総額が低い株式)を中心に投資し、リターンの増加を狙う
- モメンタム(Momentum):過去に好調だった株式を選び、トレンドに乗ることで利益を追求する
- 低ボラティリティ(Low Volatility):価格変動が少ない株式を選ぶことで、リスクを軽減する
- クオリティ(Quality):収益性や財務健全性が高い企業に投資し、リターンを安定化させる
スマートベータ戦略のメリットとリスク #
- メリット:従来のインデックスに比べ、リスク調整後のリターンが向上する可能性がある。
- リスク:特定の因子に偏るため、選択した因子が市場で機能しない場合はリターンが下がる可能性がある。
スマートベータ戦略の注意点 #
ただし、上記で述べたことは、あくまでも運用上の狙いであって、かならずしも、優れた投資性を保証するものではないという点には注意が必要です。投資家としては、スマートベータ戦略を掲げる投資商品への投資を検討するにあたっては、「平均との差」をどのように狙うのかという方針に自身が賛同できること、そして、単純な市場平均を狙う投資商品と比較して、信託報酬などのコストがどのくらい違うのかについて納得できているということが重要です。
スマートベータ戦略のまとめ #
スマートベータ戦略は、市場平均を超えるリターンやリスク低減を目指し、特定のファクター(例: 配当の高い企業や低ボラティリティの銘柄)を基準に投資を行う戦略です。代表的なファクターにはバリュー、モメンタム、サイズ、クオリティなどがあり、従来の時価総額加重型インデックスとは異なります。この戦略はリターン向上の可能性がある一方、特定因子への依存に伴うリスクがあるため、コストや目標とするリターンへの理解が重要です。