世界初のAIが運用するアクティブ型のETFが登場


世界初のAIが運用するアクティブ運用型のETF

2017年は投資信託の世界でも「AI(Artificial Intelligence=人工知能)」という言葉を頻繁に聞くようになりした。AIを活用して資産配分を決定したり、リバランスを自動で実行してくれるロボアドバイザーが多く登場したことが一因として挙げられます。そして、ついに、2017年10月18日に、世界初のAIが運用するアクティブ運用型のETF「AI Powered Equity ETF」がニューヨーク証券取引所 Arcaに上場しました。ティッカー・コードはAIEQです。

 

これまでのAIファンドとの違い

これまでも一般にAIファンドと呼ばれる投資信託はありましたが、それらはAIを活用して新製品やサービスを開発している企業など、AIの拡大によって恩恵を受ける企業の株式に投資するタイプのファンドでした。

また、既に日本でも10社以上が提供しているロボアドバイザーは、AIを活用して投資家一人一人に最適な資産配分を提示し、それに合致した運用を行うために資産を既存のETFや投資信託に分散投資するものです。一度決められた資産配分は維持され、そこから乖離した場合には、ロボットがリバランスを自動で行うことはあっても、日々の金融・経済状況や世界の様々な出来事を情報として取り入れてそれを即座に運用に反映させるということは行われません。

今回上場した「AI Powered Equity ETF」は、上記のいわゆるAIファンドやロボアドバイザーとは異なります。ファンドマネージャーに代わってAIが膨大な情報を収集・分析し、投資する銘柄や組入比率を決定するETFです。世界初のAIが運用するアクティブ運用型ETFだと言われています。

AI Powered Equity ETFの運用会社はETF Managers Group LLC ですが、実質的な運用は同ETFの運用モデルを開発したサブアドバイザーであるEqubot社が担います。

SEC(米国証券取引委員会)に提出されたAI Powered Equity ETFの届出書(FORM N-1A)によると、Equbot社は、AIを投資分析に応用することを専門に行う会社で、IBMのスタートアップ支援プログラムである「IBMGlobal Entrepreneur プログラム」から誕生しました。そして、Equbot社が開発した分析モデルのEqubot モデルは、IBMが世界に誇る人工知能を備えたスーパーコンピューターの「Watson(ワトソン)」を活用して米国の上場企業や不動産投資信託の分析を行い、ETFに組み入れる銘柄を選択します。Equbotモデルは、日々、現在の世界中の経済状況、トレンド、様々な出来事の情報を収集し、そこから企業が受ける恩恵の可能性等を分析し、それによって企業をランク付けします。そして、最も値上がりの可能性の高い30から70の銘柄を選択し、それぞれの最適な組入比率を算出します。リスク水準については、米国の株式市場全体と同程度になるよう維持されるということです。Equbot モデルが選択した銘柄について、運用会社が米国における規制等に照らし合わせて、実際の銘柄の売買を行います。人間では収集が不可能な膨大な量の情報をスーパーコンピューターのWatsonが世界中から常に収集・分析し、即座に運用に反映させるというものです。

いよいよAIが運用を行う時代が到来したわけです。人間対AIのどちらに軍配があがるか、AI Powered Equity ETFの今後のパフォーマンスが注目されます。

 

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