投資信託における為替リスクとは、投資信託が外国の資産(外国株式や外国債券など)に投資している場合、為替レートの変動によってその資産の価値が変動し、投資信託の基準価額に影響を与えるリスクのことです。これは、円建てで運用される日本の投資信託において、海外資産の価値が外国通貨から円に換算される際に生じるリスクです。
具体的に、為替リスクが投資信託にどのような影響を及ぼすかを以下に説明します。
1. 為替レートの変動による基準価額への影響 #
日本の投資信託が米国株式や米国債券などの米ドル建て資産に投資している場合、為替レート(円とドルのレート)が変動することで、円建ての基準価額も変動します。
– 円高の影響:円高(1ドル=110円から100円になるなど)が進むと、米ドル建ての資産を円に換算した際の価値が下がり、結果として投資信託の基準価額も下がる可能性があります。
– 円安の影響:円安(1ドル=110円から120円になるなど)の場合、米ドル建ての資産を円に換算した際の価値が上がるため、投資信託の基準価額も上がる可能性があります。
例として、1ドル=100円の時に米国の株式を100ドル分購入した場合を考えてみましょう。ドル建て資産の価値が100ドルで一定でも、為替レートが円安になると基準価額の上昇要因となり、円高になると基準価額の下落要因となります。
購入時の価格 | 円安になった場合 | 円高になった場合 | |
---|---|---|---|
ドル建て資産の価値 | 100ドル | 100ドル | 100ドル |
為替レート($1) | 100円 | 120円 | 80円 |
円ベースの基準価額 | 10,000円 | 12,000円(上昇) | 8,000円(下落) |
2. 為替ヘッジによるリスク緩和と投資信託の選択 #
為替リスクを軽減するために、投資信託によっては為替ヘッジを行っている場合があります。為替ヘッジとは、為替変動によるリスクを抑えるための手法で、通常は為替先物取引や為替予約を利用します。投資家は、為替ヘッジの有無に応じて以下のような特徴を理解しておくことが重要です。
– 為替ヘッジありの投資信託:為替変動の影響を受けにくく、投資対象の海外資産のリターンが安定的に基準価額に反映されます。為替リスクを回避したい投資家向けです。
– 為替ヘッジなしの投資信託:為替変動の影響を直接受けるため、基準価額が為替レートによって大きく上下することがあります。為替変動によるリターンの増加を狙いたい投資家向けです。
為替リスクのまとめ #
為替リスクは、投資信託のリターンに影響を与える重要な要因であり、特に外国資産への投資を行う場合には為替変動の影響を十分に理解しておくことが大切です。為替ヘッジの有無やリスク許容度を考慮し、自分に適した投資信託を選択することが重要です。