FTSE RAFI エマージングインデックス #
FTSE RAFI エマージング インデックスは、新興国の上場株式を対象とするファンダメンタル・インデックスの一つです。流動性基準、時価総額基準、浮動株基準を満たした新興国の上場株式の中から、4つのファンダメンタル指標(株主資本、キャッシュフロー、売上、配当)に着目して構成銘柄の選出と組入比率が決定されています。英語ではFTSE RAFI Emerging Indexと記載されます。
FTSE RAFI エマージング インデックスは、2007年3月19日を基準として、同日の指数値を5000として算出され、2024年10月末日現在、396銘柄で構成されています。
→FTSE RAFI エマージング インデックスのチャート(google finance)
ファンド名にあるFTSEは世界的な指数算出会社のFTSE Russell社のことで、RAFIは、Research Affiliates Fundamental Indexの略称で、リサーチ・アフィリエイツ社が開発したファンダメンタル・インデックスという意味です。このリサーチ・アフィリエイツ社(RA社)は、ファンダメンタル指数の算出を含めたスマート・ベータ指数や戦略の開発、それらを用いた運用において世界的に有名な会社です。FTSE RAFI エマージング インデックスは、この2社が共同で開発した株価指数です。
RA社の創業者兼CEO(最高経営責任者)であるロバート・アーノット氏とジェイソン・スー氏は、2005年にファンダメンタル指数(Fundamental Indexation)と題する論文を発表するなど、ファンダメンタル指数の分野の第一人者として世界的に有名です。
FTSE RAFI エマージング インデックスが利用するファンダメンタル指標について #
FTSE RAFI エマージング・インデックスが利用する4つのファンダメンタル指標(株主資本、キャッシュフロー、売上、配当)について見てゆきましょう。
株主資本(Shareholders’ Equity) #
株主資本は、会社が株主から受け取った資本や、事業活動で蓄積した利益(留保利益)から成る総額です。株主資本が多いほど、企業は強固な財務基盤を持っているとされ、債務の返済能力も高いとみなされます。インデックスにおいて株主資本を考慮することで、経済的に安定した企業を重視することができます。
キャッシュフロー(Cash Flow) #
キャッシュフローとは、企業の活動を通じて得た現金収入と支出の差額であり、事業運営のための現金の流れを示します。特に、営業キャッシュフローが高い企業は、自社の事業活動から十分な資金を生み出すことができるため、財務の健全性や成長性が高いと評価されます。キャッシュフローを重視することで、収益を実際の資金に変換する力のある企業に投資できるようになります。
売上(Revenue) #
売上は、企業が商品やサービスの販売によって得た収入を表す指標です。売上が多い企業は、一般的にマーケットシェアが大きく、強い競争力を持つと見なされるため、成長性や市場での優位性の指標として活用されます。インデックスにおいて売上を加味することで、ビジネス規模の大きい企業を選定しやすくなります。
配当(Dividends) #
配当は、企業が利益の一部を株主に分配するもので、企業の株主への還元姿勢を示します。安定した配当を支払う企業は、収益力や財務の安定性が高いと評価される傾向にあり、株主への還元意識が強い企業に投資することができます。配当の多さを指標に含めることで、株主還元を重視する企業がインデックスに含まれるようになります。
これら4つの指標を使うことで、FTSE RAFI エマージング インデックスは、時価総額加重ではなく、企業の基礎的な財務状況に基づいて銘柄を選定し、成長力や収益力のある企業を中心としたポートフォリオを形成することを目指しています。
FTSE RAFI エマージング インデックスをベンチマークとする投資信託の例 #
- iFree 新興国株式インデックス (大和アセットマネジメント)
- PowerShares FTSE RAFI Emerging Markets Portfolio(PXH)(PowerShares)
FRSE RAFI エマージングインデックスのまとめ #
FTSE RAFI エマージング インデックスは、新興国の上場株式を対象とするファンダメンタル・インデックスで、株主資本、キャッシュフロー、売上、配当の4つの指標に基づき構成銘柄と組入比率が決定されます。従来の時価総額加重インデックスとは異なり、財務状況を重視して成長力や収益力のある企業を選定することで、企業価値向上を目指すスマート・ベータ戦略として位置づけられています。