JPモルガン、第11回 企業年金運用動向調査結果を発表


JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社は、2018年3月上旬~6月中旬 にかけて日本の企業年金基金を対象に、過去2年間の運用状況の変化および今後の方向性について 聞き取り調査を行い、その調査結果を6月29日に発表した。

調査結果によると、確定給付企業年金(DB年金)運用の資産配分においては昨年に引き続き、国内債 券や株式などの伝統資産の減少と、オルタナティブ資産の増加というトレンドがみられた。政策アセ ット・ミックス内のオルタナティブ資産の割合は、過去最高の17.1%まで増加した。一方、国内債券 への資産配分割合は、2008年度の本調査開始以来最低となる21.7%にまで減少した。JPモルガン・アセット・マネジメントは、「これは国内 債券への配分が減少したことに加え、国内債券枠自体を削減して新たに「グローバル債券枠」を設定し た企業が増加したためと考えられます」とコメントしている。

今後の見通しについては、「国内債券を減少させる」と回答した割合は、2014年から2017年の3年間は17~20%台で推移していたが、今回は10.8%と過去平均から大きく低下した。また、その他の 伝統資産についても、「増加方向」、「減少方向」ともに過去平均を下回り、伝統資産の整理は全体的に 一服しつつあることがわかった。

一方、今後「オルタナティブ資産を増加させる」と答えた割合は59.2%と、半数以上が配分増を見込んでおり、JPモルガン・アセット・マネジメントは「この傾向は今後も継続するとみられます」とコメントしている。2017年度時点では、すでに約8割のDB年金がオルタ ナティブ資産に投資しており、実績ベースの資産配分比率でも国内債券の17.7%に次ぐ17.1%に達して いる。JPモルガン・アセット・マネジメントでは、「オルタナティブ資産は今や伝統資産以上に存在感のある主要な資産クラスと考え られます」と述べている。オルタナティブ資産の中では、「インカム投資」の考え方やボラティリティが低水準であること に着目して、私募REIT、実物不動産、インフラへの配分が総じて高い傾向がみられた。加えて、比 較的投資期間が短いことから、プライベート・デットも新たなインカム戦略として検討され、組入れが進ん でいる。

ポートフォリオの管理方法では、昨年に引き続き、従来型伝統4資産の枠を超えた新たな管理方法を採 用しているDB年金が41%に達した。中でも、国内債券・株式枠を廃止し、グローバル債券・株式枠 を設定したDB年金は全体の2割を超えている。

※ 調査は日本の企業年金基金を対象に2018年3月上旬~6月中旬にかけて行われた。このプレスリリ ースで発表する調査は、確定給付企業年金120、共済3、合計123の年金基金から得た回答を集計しまとめたもの。