ETFの値付日数(2018年7月)、マーケットメイカーの影響は?



毎日取引が成立したETFは220本中130本

マーケットメイク制度は開始されたが効果は限定的


ETFの値付日数とは、証券取引所が開いている日(営業日)のうち各ETFに値段が付いた(取引が成立した)日数のことです。

2018年7月末時点で、東京証券取引所には222本のETFが上場していました。このうち、7月の営業日(21日)に毎日取引が成立したETFは130本だけでした。一方で値付日数が5日以下だったETFは21本ありました。7月のETFの値付日数の分布は次の通りでした。多くのETFで取引が成立しない日がかなりあることがわかります。

 

ETFの値付日数の内訳(2018年7月)

 

マーケットメイク制度

東京証券取引所では、このETFの流動性の問題を改善するために、7月からマーケットメイク制度を導入しました。一定の気配提示義務を満たしたマーケットメイカー(証券会社等)に対して、東京証券取引所がインセンティブ(報酬)を与えることで、ETFの取引を活発化させようとするものです。

7月に上場した2本を除く220本のETFのうち、マーケットメイカーが付いているETFは100本です。この100本について、値付日数を6月と比較してみました。結果は次の通りです。

6月と比べて値付日数に変化がなかったETFが57本、増加したETF が35本、減少したETFが8本でした。なお、変化がなかった57本のETFのうち53本については、6月並びに7月において、全営業日に取引が成立したETFです。

6月に比べて値付日数が増えたETFが35本あったということは、マーケットメイク制度が好影響をもたらした結果かもしれません。しかし、①マーケットメイカーが付いているのに値付日数が減少したETFが8本あったこと、②マーケットメイク対象ファンドが全体の半分以下であること(220本中100本のみ)、③流動性の極めて低い業種別ETFや商品ETFがマーケットメイクの対象になっていないことを考慮すると、ETF市場の流動性の問題にはまだまだ改善の余地があると言えそうです。

なお、2018年8月9日現在、次の5社がマーケットメイカーとして指定されています。

 

 

7月の値付日数が5日以下のETF

2018年7月の値付日数が5日以下だったETFは次の通りです。業種型、商品型のETFが目立ちます。

銘柄コード ETF名 値付日数
1692 ETFS アルミニウム上場投資信託 0
1684 ETFS 総合上場投資信託 0
1567 MAXISトピックスリスクコントロール(5%)上場投信 1
1468 JPX日経400ベア上場投信(インバース) 1
1676 ETFS 貴金属バスケット上場投資信託 1
1675 ETFS パラジウム上場投資信託 2
1460 MAXIS JAPAN クオリティ150上場投信 2
1634 ダイワ上場投信・TOPIX-17 食品 2
1647 ダイワ上場投信・TOPIX-17 小売 2
1694 ETFS ニッケル上場投資信託 3
1673 ETFS 銀上場投資信託 3
1685 ETFS エネルギー上場投資信託 3
1686 ETFS 産業用金属上場投資信託 3
1387 UBS ETF 欧州通貨圏株 (MSCI EMU) 4
1610 ダイワ上場投信-東証電気機器株価指数 4
1485 MAXIS JAPAN 設備・人材積極投資企業200上場投信 4
1574 MAXISトピックスリスクコントロール(10%)上場投信 4
1650 ダイワ上場投信・TOPIX-17 不動産 4
1683 One ETF 国内金先物 5
1649 ダイワ上場投信・TOPIX-17 金融(除く銀行) 5
1641 ダイワ上場投信・TOPIX-17 機械 5

 

値付日数が少ないETFのリスク

値付日数が少ないETFの場合、買いたくても買えない、売りたくても売れない、売買したい価格での取引が成立しない、市場価格と基準価額が乖離しているという流動性リスクや問題が生じます。ETFを購入する前に、マーケットメイカーの有無、値付日数、売買口数、売買金額などを確認しておくことが大切です。これらの情報は、東京証券取引所が公表しているETF・ETN月間相場表などで確認することができます。