GPIFも参加する気候変動ファイナンス・リーダーシップ・イニシアチブ、「低炭素未来の資金調達」を発表


国連気候変動対策特使のマイケル・R・ブルームバーグが結成した気候変動ファイナンス・リーダーシップ・イニシアチブ(The Climate Finance Leadership Initiative 、 CFLI)は、 2019年9月18日、 アントニオ・グテーレス国連事務総長の要請を受け、 「低炭素未来の資金調達(Financing the Low Carbon Future)」を発表した。新たな報告書は、 低炭素経済への秩序ある移行を支援するために必要な規模と速度で民間の気候変動ファイナンス資金を動員することを目的としている。この報告書は、 民間銀行、 資産運用会社、 およびアセットオーナーを含むインベストメント・チェーン全体にわたる世界最大規模の機関からの直接的な視点に基づいて、 公共部門や民間部門がパリ協定の目的を果たすための具体的なリーダーシップの機会を特定している。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ、 アクサ、 エネル、 ゴールドマン・サックス、 日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、 HSBC、 およびマッコーリーなどが名を連ねる同グループは、来週の国連気候変動サミットで事務総長に正式に報告書を提出し、9月25日のブルームバーグ・グローバル・ビジネス・フォーラムにおいて、同報告書で推奨されるソリューションに関連したアクションを発表する。

ブルームバーグLPおよびブルームバーグ・フィランソロピーズの創設者であるマイケル・ブルームバーグ氏は次のように述べている。

民間部門は、 気候変動との闘いにおいて重要な役割を担っており、 低炭素社会を構築するためにはグローバルな金融システムを集結することが重要です。 ますます多くのビジネスリーダーが、 経済成長と気候変動対策は相反するアイディアではなく、 両立できるものであることを認識しています。 この報告書に示されているソリューションは、 排出量の削減と経済の強化の両方のためのロードマップを提供しています。

前国連気候変動枠組条約事務局長で世界気候エネルギー首長誓約副議長でもあるクリスティアナ・フィゲレス氏は次のように述べている。

気候変動の広範囲にわたる影響は無視できないほど重大です。 21世紀の最も重要な課題に取り組むため気候変動ファイナンスの動員が不可欠です。 私たちは複数の都市と協力して投資準備態勢にあるプロジェクトのパイプラインを拡大しており、 CFLIの報告書にあるソリューションは、 民間資金がそれらに応えることを可能にします。 私は、 低炭素経済への移行においてリードしているCFLIの活動を称賛します。

低炭素未来の資金調達 」では、新規の低炭素投資を増やす一方で、 炭素集約型セクターを積極的に移行するという課題に重点を置いている。報告書にはすぐ実施できる実用的かつ短期的なソリューションが示されており、秩序ある移行を可能にする。支援するための民間金融、 公的金融、 および公共政策にわたるパートナーシップの重要性が強調されており、特に新興市場への投資に重点が置かれている。この報告書では、 実行可能なクリーンエネルギーのビジネスモデルが既に存在している分野で必要とされるさまざまな資金調達戦略を、技術と政策の革新が特に必要な産業と対比し、わかりやすく示している。報告書では金融セクター自体に必要とされる移行も認識しており、金融ポートフォリオをより体系的に低炭素の将来に合致させるために有効なツールとインセンティブも示している。

アリアンツ・グローバル・インベスターズの最高経営責任者(CEO)であるアンドレアス・ウターマン氏は次のように述べている。

低炭素未来への移行は、 今日の大きな課題の一つです。 資金提供が可能な私たちには、 コラボレーション、 創造性、 および革新において新たな水準に達する責任があります。 公共資本と民間資本間の連携を強化し、 開発途上にある市場における気候変動ソリューションのための資金動員に重点を置く必要があります。 言うは易く行うは難しですが、 このイニシアチブは、 未来を守るための財政支援を促進する、 実用的な手順を提供しています。

アクサ・グループのCEOであるトーマス・ブベル氏 は次のように述べている。

低炭素経済への移行には、 気候変動ファイナンスにおける規模の拡大が可能なソリューションを提供するために、投資家と企業の協力が必要です。私たちは、特にこれらのソリューションが最も大きな影響を与える新興経済圏において、それに伴う課題を十分に認識しています。 CFLIの他のパートナーの経験から学ぶとともに、この分野でのアクサの経験を提供できることを光栄に思います。さまざまな企業が専門知識とソリューションを全体で共有することで、具体的かつ的を絞った行動が可能であることをCFLIは明確に示しています。

エネルのCEO兼ゼネラルマネージャーであるフランチェスコ・スタレス氏は次のように述べている。

金融コミュニティは気候変動に関連するリスクに対する認識を一層深めていますが、 低炭素ソリューションへの資金フローのペースは十分には伸びていません。 この気候変動ファイナンス・リーダーシップ・イニシアチブ(CFLI)は、 低炭素投資を加速し、 炭素集約型セクターの更なる移行への支援を可能にする資金フローを動員するために必要なものを特定します。 CFLIに参加することで、 パリ協定の目標に向けて課題と民間資本の流れを動員するために、 再生可能エネルギーの世界最大の民間企業として我々の経験と洞察を共有します。 グローバルな企業と金融コミュニティは、 迅速に実施される具体的な行動に焦点を当てるべきです。

ゴールドマン・サックスの会長兼最高経営責任者(CEO)であるデービッド・M・ソロモン氏は次のように述べている。

ゴールドマン・サックスは、 世界中の再生可能エネルギーとクリーンテクノロジーソリューションに向けて1,000億ドル以上を動員し、 気候変動対策に長年取り組んできました。 直面している課題の規模や緊急性は明らかで、 更なる大胆な行動が必要です。 私たちは、 気候変動と社会全体に利益をもたらすインクルーシブな成長に対してサステナブル・ファイナンスを加速させることに特化した取り組みを開始し、 革新的な気候変動ソリューションを拡大するためにCFLIのメンバーと協力しています。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道理事兼最高投資責任者(CIO) は次のように述べている。

気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に準拠した当法人の最新ESG活動報告は、 GPIFのグローバルポートフォリオが世界の平均気温が3℃以上上昇するシナリオと整合的であることを示しています。 世界中で約5,000社の株式と3,400の発行体の債券を保有するユニバーサル・オーナーとして、 我々のポートフォリオは世界が向かう方向を表しています。 必要な変化を支えるために資本を動員するには、 よりダイナミックで迅速な行動が必要です。 CFLIの報告書によって、 私たちの受益者の皆様共通の目標と責任を示す多くの課題と可能なソリューションが特定されました。 世界に注目すべきメッセージを届けるべく、 このような重要な取り組みに貢献できることを嬉しく思います。

HSBCホールディングスのグループCEOであるノエル・クイン氏は次のように述べている。

気候変動の課題は大きく、 対応できる機会は限られています。 CFLIのようなイニシアチブは、 低炭素経済への移行を加速するための基盤を整えています。 2030年までに90兆米ドルのインフラ投資が見込まれる中、 連携することで、 市場参加者は気候変動リスクを評価し、 資本を効果的に配分して低炭素の未来を実現できるようになります。 HSBCは2025年までに1,000億米ドルの持続可能な金融を提供することを約束し、 現在までに367億米ドルを実施しました。 私たちはさらにやるべきことがあると認識しており、 これがCFLIのような重要なイニシアチブに参加する理由となっています。

マッコーリーグループのCEOであるシェマラ・ウィクラマナヤケ氏は次のように述べている。

この報告書は、 民間の気候変動ファイナンスを動員するための最大の課題の一つが、 十分に強力で投資可能なプロジェクトがパイプラインにないことだと示しています。 私たちはCFLIの活動をもとに、 成熟した市場と新興市場の公共部門と民間部門のパートナーと共に、 より大きな規模とスピード感を持って次世代の再生可能エネルギープロジェクトを提供していくことを楽しみにしています。

CFLIの詳細および報告書全体→ https://www.bloomberg.com/cfli/?utm_medium=dotcom&utm_campaign=mktg&utm_source=Annoucement&utm_content=CFLIAnnouncement&mpam=21297

CFLIについて

気候変動ファイナンス・リーダーシップ・イニシアチブ(The Climate Finance Leadership Initiative 、 CFLI)は、 気候変動ソリューション提供を目的に、 民間資本の動員と規模の拡大を実現すべく先導企業が結集した。 アントニオ・グテーレス国連事務総長の要請を受け、 マイケル・R・ブルームバーグが、 CFLIを設立。 CFLIのメンバーには、 アリアンツ・グローバル・インベスターズ、 AXA、 ブルームバーグ、 エネル、 ゴールドマン・サックス、 日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、 HSBC、 およびマッコーリーが含まれる。