インベスコは、グローバル投資家の中国エクスポージャーに関する調査である「チャイ ナ・ポジション(The China Position)」を2019年11月11日に発表した。同調査によると、世界の投資家の 80%以上が、今後 12 カ月間で中国投資に対する投資配分を大幅ないしはそれなりに増加させる意向であることが明らかになった。中国への投資を縮小すると回答した投資家はわずか4%に過ぎなかった。
同調査は、北米、日本を含むアジア太平洋、欧州、中東・アフリカの、5 億米ドルを超える資産の運用を行う 411 の機関投資家を対象に、2019 年 8 月〜9 月に行われた。調査はインベスコが主催し、英国の国際経済誌「The Economist」の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニットが実施した。
調査結果によると、約 90%の回答者が(「新興国」といった地域の一部ではなく)中国一国を対象とした投資を行っており、残りの約 10%についても、その約 2/3 がグローバルやアジア、新興国の一部として中国への投資を行っていることが明らかになった。また、中国のみを対象とした投資を行っている機関投資家にとって最も人気のある資産クラスは中国 A 株(69%)、次いでオンショア中国債券市場(60%)、中国H 株 (59%)となった。投資を行う目的としては、「ポートフォリオの分散」(87%)が最も多く、次いで「知見を高めるため」(69%)、「超過収益(アルファ)の追求」(62%)となった。一方、中国のみを対象とした 投資を行っていない理由としては、「外国人投資家にとっての金融システムの透明性の欠如」(40%)、「法的保護に関する懸念」(37%)、「経済の安定性に関する懸念」(35%)、「信頼できる金融仲介業者の 欠如」(35%)などの課題が挙げられている。
中国経済に対する投資家の明るい見通し
調査では、世界経済の先行きについて、投資家は依然として前向きにとらえており、中国経済についてはさらに強気の見方をしていることがわかった。今後 12カ月間の経済状況が現状よりも良好と考えている回答者は、世界経済についてが 65%であったのに対し、中国については 74%に及んだ。中国の主たる投資テーマについては、技術開発におけるグローバル・リーダーとしての同国の地位の高まりに伴い、技術革新(人工知能、ロボットなど) が最も注目されており(58%)、次に金融サービス(51%)、ヘルスケア、IT、教育などの「ニューエコノミー」 サービス(41%)と続いている。
米中の貿易戦争の影響については悲観ばかりではなく、投資配分に及ぼす影響も限定的
米中の貿易戦争が投資判断にどのような影響を与えるかについて、回答はまちまちであり、43%が投資判断にマイナスの影響を与えると回答した一方、42%はプラスの影響を与えると回答している。予想される影響にはばらつきがあるものの、貿易戦争を考慮しても、多くの投資家が依然として中国への投資を「大幅に増加」 (32%)または「それなりに増加」(36%)させるだろうと予想している。
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社の代表取締役社⻑兼CEOである佐藤秀樹氏は、本調査の結果について、次のようにコメントしている。
中国の大規模な成⻑と市場へのアクセス拡大に向けた継続的な努力により、グローバルな投資家にとって中国 がますます魅力的な投資対象となっていることが示されています。インベスコは約30年にわたり、中国市場への投 資機会を提供して参りました。引き続き、多様なお客様の投資ニーズを満たし、投資家の方々のお役に立ちたい と考えております。
「チャイナ・ポジション」の全文(英語)→http://inves.co/china_position
注記:サンプルと調査方法について
調査は、インベスコ主催の下、Economist Intelligence Unitがまとめたもの。調査は、2019年8月 ~9月にかけて、411の機関投資家(資産運用会社、商業銀行、基金、政府機関、ヘッジファンド(ファミリーオ フィスを含む)、年金基金、保険会社、ソブリンウェルスファンド)の経営者や幹部を対象に実施された。調査対象機関の運用資産は5億〜100億米ドル以上に及んだ。今回の調査の回答者は、概して、同業他社と比較した場合、中国エクスポージャーについて平均を上回っていた。
インベスコはエコノミスト・インテリジェンス・ユニットの関連会社ではない。資料に記載されている全てのデータは、特に記載がない限り2019年6月30日時点。