S&P Global、RobecoSAMからESGレーティング事業を取得


S&P グローバル(NYSE: SPGI)とRobecoSAM(Robecoの関係会社)は2019年11月21日、S&P グローバルがRobecoSAMからESGレーティング事業を取得すると発表した。これには、企業のサステナビリティ問題の実践に関する年間評価であるSAM*コーポレート・サステナビリティ評価(CSA)が含まれる。RobecoSAMは、企業の長期的価値形成に対するサステナビリティの影響を20年間にわたって分析しており、CSAはこうした長期にわたる豊富な経験に基づいて実施される最も高度なESGスコアリング・メソドロジーとして評価されている。

ESGレーティング事業は2つの部門から構成されています。1つ目の部門では、ESGレーティングを発行することを目的としてSAM CSAを管理しており、2つ目の部門では、企業に対して、それぞれが属する業種内での他社とのパフォーマンス比較に関する詳細なレポートを提供している。

S&Pグローバルは、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する重要な分析や商品ソリューションを顧客に提供しており、今回のESGレーティング事業の取得により同社のサービスが強化されることになる。S&Pグローバルはこの取得を通じて、透明性が高く、堅固でかつ包括的なESGソリューションをお客様に提供することが可能となる。S&Pグローバルの顧客は、現時点で4,700社を超える企業の分析情報に基づく独占的かつユニークなデータセットを利用できることになる。S&Pグローバルのカバレッジは急速に拡大しており、S&Pグローバルにおける幅広いESGへの取り組みの下でカバレッジがさらに拡大すると見込まれる。

この取引はRobecoSAMとS&P グローバルのこれまでの良好な関係に基づいている。この取引により、RobecoSAM及びRobecoはその戦略に沿って、ESG データやサステナブル投資リサーチの解釈、及び主要な資産運用業務におけるデータやリサーチの応用に重点を置くことが可能となる。RobecoSAM及びRobecoはこれまでと同様に、CSAデータを引き続き投資戦略で使用するとともに、CSAメソドロジーに対する助言を提供する。

S&P グローバルの社長兼最高執行責任者(CEO)であるDouglas Peterson氏は以下のように述べている。

S&P グローバルは今回の取得を通じて、弊社が提供するESG商品に重要なインサイトを追加することが可能となります。これにより、弊社のお客様はさらに堅固な戦略を構築し、持続可能な未来を築き、進化する市場の期待に応えることが可能となります。

20年以上前にダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスの算出を開始して以降、RobecoSAMは非常に優れたパートナーであり、重要なESGインテリジェンス、データ、及びリサーチ情報を金融市場に提供することにおいて弊社とコミットメントを共有しています。本日の発表は、我々の提携関係が次の段階に向けて進化していることを示すエキサイティングな出来事です。この提携関係により、S&P グローバルは差別化されたESG商品を開発し、お客様に新たなコンテンツやソリューションを提供することが可能となります。

CSAは、S&P グローバルの一員であるS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスと協力して1999年に初めて開始された持続可能性評価であり、サステナビリティ情報に関して世界で最も大規模なデータベースの1つになっている。CSAでは、業界固有のESG基準及び財務的に重要なESG基準の両方に基づいて世界中の4,700社以上の企業を評価している。

RobecoSAMの取締役であるKarin van Baardwijk氏は次のように述べています。

ESGデータをめぐる状況が急速に変化しており、それに伴ってデータ・プロバイダーも進化しています。S&P グローバルは、CSAを今後継続・発展させていく上で最適な立場にあるグループと考えられ、これからもRobeco、RobecoSAM、及びデータを利用しているお客様に引き続きメリットがもたらされると考えられます。

今回の取引により、弊社は多くの投資プロセスに使用されるCSAデータの適切な統合や応用に重点を置くことが可能となります。サステナブル投資は弊社の重要な強みです。弊社では、20年以上にわたりこの分野に関する専門知識を深めており、数多くのアワードを受賞しています。また、サステナブル投資の支援を通じてお客様から高い信頼を得ています。弊社はサステナブル投資能力に継続的に投資し、イノベーションを生み出すことを目指しており、このエキサイティングな分野の最先端に留まるとともに、この分野におけるトップの座を拡大することにも努めています。

当該取引は、慣習的な成立条件を満たす必要がある。2020年第1四半期中に完了する予定。

S&P グローバルによると、2019年は、S&P グローバルにとって節目の年となった。S&P 500 ESG 指数などいくつかの主力ESG商品や、一連のTrucostの気候分析及び新たなデータ配信オプション、S&P グローバル・レーティングESG 評価(2017年に開始したS&P グローバル・レーティング・グリーン評価に続いて)などを導入した。

顧客の要望に応じた新たな商品ソリューションの提供に加え、2019年にはダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)が20周年を迎えました。また、同社は気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)や、サスティナビリティ会計(A4S)にも積極的に参加している。