”The Home of Alternatives”をコンセプトに、オルタナティブ投資の包括的なデータを提供するPreqin合同会社(本社イギリス、 以下プレキン)は、保有するデータを活用し、年間のグローバルトレンドやインサイトを各アセットクラス毎にまとめた報告書を毎年発行しており、2019年度のオルタナティブ投資についての報告書「2020 Preqin Global Alternatives Report」を発表した。
報告書のダウンロード→https://go.preqin.com/2020-preqin-global-alternatives-reports-jp
報告書サマリー
オルタナティブ投資の運用資産残高(以下AUM)は2019年に10兆米ドルの基準を超え、2019年6月末時点で10.31兆米ドルに達した。2019年上半期だけで7,000億米ドル以上増加しており、アセットクラスをまたいで成果を上げている。
ファンドマネージャーは、投資家からの大量の資本流入と長期にわたる高パフォーマンスの恩恵を受けていたが、これから先は工夫が必要になってくる見込み。
過去5年の高い成長率等を踏まえると、今後の見通しについては、2023年半ばまでに14兆米ドルの資産に到達する見込みで、2018年発表の「Future of Alternatives」報告書でPreqinが示した予測より好スピードで成長している。
プレキン CEO Mark O’hare氏は次のようにコメントしている。
2019年のレポートでは、 金融市場は資産のバリュエーション高騰と経済的・政治的不透明さとで分水嶺にあり、 また投資リターンが厳しい時期になるだろうと述べましたが、 今日でもその傾向は続いています。 これまでオルタナティブ資産は投資家に良い成果を還元しておりますが、 今後も同様の実績を届けるには、 市場の様々な困難や機会に対して、 適応と進化をし続ける必要があります。
統計データでみるオルタナティブ投資業界全体像
- オルタナティブ投資のAUMは、 2019年6月末で10.31兆米ドルに達した。2018年末の9.56兆米ドル、2013年末の6.43兆米ドルと比べ増加している。
- 2013年から2018年にかけて、平均年率8%で成長した。このペースが継続されると、AUMは2018年にPreqinが行った予測より早く、2023年半ばまでに14兆ドルに達する見込み。
- 長期にわたる堅実なリターンと資産の多様化が魅力的に映り、より多くの投資家がオルタナティブ投資に注目している。2019年末時点で、 Preqinは世界の機関投資家の約8割である12,000の機関投資家をカバレッジしている。
- 市場環境はより複雑になり、今後1年でさらに進化を求められる見込み。ファンドマネージャーは、それに応じ適切なアプローチをする必要がある。
統計データでみる各アセットクラス
- ヘッジファンドは、 2019年1月から11月にかけて投資家が総額820億米ドルを引き出し、マーケットの集約が進んでいる。
- 小売業などの従来の分野での活動が減少しているにもかかわらず、技術系セクターにおけるプライベートエクイティ活動が急上昇している。
- プライベートデットファンドは、より競争力のある融資環境を作り出すために、コベナンツ・ライトなどを採用している。
- インフラストラクチャーマネージャーは、リターンを維持するためにリスクリターン曲線上を動いている。
- 不動産ファンドは、eコマースへの動きとコワーキング文化の盛衰によって絶えず変化している。