フィデリティ投信は、 退職準備の“見える化”を進めるため、 その準備度合いをスコア化し示した「フィデリティ退職準備スコア」をこの度作成し、2020年7月16日に公表した。
2018年11月に発表した“フィデリティの「退職準備の指標」”* は退職準備におけるゴール設定の考え方を示したものだったが、これに続く“フィデリティ退職準備スコア”は、アンケート調査をもとに現状の進捗度合いをスコア化したもの。退職準備に関するアンケート調査は2019年9月に米国、カナダ、英国、ドイツ、香港、日本の各地域で合計約14,000名に行った。
*フィデリティの「退職準備の指標」とは:
退職後の生活に必要な準備額を具体的な金額で示すのではなく、年収の何倍必要か(「年収倍率」)で考えることを提案、30代~60代それぞれの世代ごとに具体的な「年収倍率」を示した。2018年にフィデリティが発表。
■フィデリティ退職準備スコア
アンケート調査の結果をもとに、 各国・地域の退職準備の進捗状況をわかりやすい形で示すために下記の計算式を用い(日本での有効回答者2,342人)スコア化した。
結果は 0~150ポイントの間で計測し、 それを4つのカテゴリーに分類。 95ポイント超であれば「現状の退職準備の水準とそのプランを継続すれば目標を達成できる」とし、 それ以下の場合は、 「あと一歩(81-95ポイント)」「要注意(65-80ポイント)」「警戒(65ポイント未満)」と評価た。
■日本は要注意レベル
アンケート調査結果による日本の退職準備スコアの中央値は75ポイント、 現状のままでは退職後の生活スタイルを見直さざるを得なくなる「要注意」の水準だった。
日本の特徴・課題 ~楽観的で自身の退職準備状況を理解できていない
フィデリティ投信によると、日本のスコアは調査を行った他国と比較すると一見大きな差は見られないが、自分の退職準備状況をどう評価するかという点で、楽観視している傾向が強く、その背景には自身の退職準備状況を十分に理解できていないことがわかった。
主観的には「計画通り」の水準に達していると評価した人の55%は、客観的な評価(フィデリティ退職準備スコア)では「計画通り」ではなかった。逆に、フィデリティ退職準備スコアで「警戒」水準だった人のうち、59%が「計画通り」または「あと一歩」と自己評価しており、フィデリティ投信は、「自分では退職準備ができていると思っているだけに、退職準備をおろそかにする懸念が高いと言えるでしょう」と述べている。全体を通じて、回答者の退職準備に関する評価は、フィデリティ退職準備スコアが示す現状よりも「楽観的」で、その傾向は特にスコアの低い層に強く出る傾向にあった。フィデリティ投信は、「退職準備の格差がなかなか解消しない背景の一つに、 各セグメントでこうした過度な楽観による退職準備への遅れがあると言えるかもしれません」と述べている。
日本の若い世代の課題
フィデリティ退職準備スコアを年代別にみると年齢が高いほどスコアがよくなる英国、カナダ、日本と逆に悪くなる香港、年代間であまり変化がない米国、ドイツの3つに傾向が分かれた。フィデリティ投信では、社会保障、公的年金等のサポート体制の差が影響しているのではないかと推察できると述べている。特に日本では、 20-30代では、 資産形成が進んでいないにも拘わらず、 早く引退したいと考えている傾向も読み取れた。
計画通りのリタイアメント・プランを達成するための3つの対策
フィデリティによると、今回の調査からは、 日本の退職準備に関連する課題を解決するための対策とその効果の大きさも見えてきた。 フィデリティでは、 下記の3つの対策を提案しており、 それぞれに十分な対策を取ればスコアがどれくらい改善するかを示している。 すべて実行できれば、 フィデリティ退職準備スコアは現状の75ポイントから125ポイントまで改善し、 目標を十分にクリアすることができる。
フィデリティ退職準備スコアに関する分析調査レポート全文は(フィデリティ資産運用ナビ)から閲覧できる。