ブルームバーグ、2022年ブルームバーグ男女平等指数(GEI)の構成企業418社を選定


ブルームバーグは2022年1月26日、 2022年ブルームバーグ男女平等指数(GEI)の構成企業として、 45カ国・地域から418社が選定されたことを発表した。構成企業全体での時価総額は16兆米ドルに上る。今年のGEIでは、 世界各地の上場企業における男女平等に関する慣行や方針の透明性が重視されているため、 より幅広く詳細な環境・社会・ガバナンス(ESG)データが投資家へ開示されることになる。

日本からは、 花王、 新生銀行、 住友林業、 積水ハウス、 大王製紙、 大和ハウス工業、 野村ホールディングス、 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、 みずほフィナンシャルグループ、 三井住友フィナンシャルグループ、 三菱UFJフィナンシャル・グループ、 ユニ・チャームが選定された。(※五十音順)

2022年のGEIでは、 開示報告の枠組みを活用してデータを開示した企業数が、 前年比20%増で過去最多となった。 これは、 男女平等へのコミットメントが高まり、 より透明性の高い社会データの報告や開示に取り組むことで、 世界中の事業会社が先頭に立って有意義な変化をもたらすことができるという認識が広がっていることを示しています。

ブルームバーグのピーター・T・グラウアー会長は、次のように述べている。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により仕事の性質が変化していることで、 急速に発展する世界の労働環境において男女平等の問題に取り組むことの重要性が浮き彫りになりました。従業員の高まるニーズに対応して、 性の多様性から得た競争力を維持するインクルーシブな労働環境を提供することは、 今日の厳しいビジネス環境においてますます重要となってきており、 GEI指数では、 このような課題に重点的に取り組む企業が評価されています。

GEIの開示報告の枠組みでは、 「女性のリーダーシップと人材確保」、 「同一賃金と賃金のジェンダー平等」、 「インクルーシブな文化」、 「セクシュアルハラスメントに関する方針」、 および「女性志向のブランド」の5項目で企業の取り組みが評価される。 企業からは各項目の詳細な質問リストに対する回答が提出される。 また、 投資家に対してより強固なESGデータを提供するという目標を実現すべく、 求められる情報の範囲が拡大されている。 例えば、 GEI指数の開示データは、 ブルームバーグ ターミナルに表示されるEEO-1のデータに活かされており、 これらには、 現在、 米雇用機会均等委員会(EEOC)への報告義務の一環として開示する、 米国企業の人種や民族の構成比率も含まれる。

ブルームバーグによると、データ開示の観点においては、 企業がダイバーシティ&インクルージョンに向けたアプローチを開発・実施する上で、 データを長期的に測定・分析・追跡できることが不可欠。同社が発表した「2022年男女平等指数(GEI)インサイト・レポート(The 2022 GEI Insights Report)」では、 GEIの算出に組み込まれるデータがいかに広範で且つ詳細にわたるかを概説し、 ジェンダー平等への取り組みが職場に与える影響を説明している。 その例として、 今年のGEI指数で指摘されたコーポレートガバナンスや企業文化に関する取り組みが含まれている。

ジェンダー格差の解消

多くの企業が取り組んでいる領域の一つとして、 取締役会や企業のあらゆる階層における多様性への取り組みが挙げられる。 平均として、 GEI指数構成企業の取締役会に占める女性の割合は31%だった。 また、 チーフ・ダイバーシティ・オフィサー(CDO)もしくはダイバーシティ&インクルージョンを主な責務とする役員を据える企業の割合は、 構成企業全体の72%だった。 さらに、 構成企業の39%の女性従業員が売上に貢献する役職に就き、 半数以上(61%)の企業が管理職の候補者にジェンダーの偏りがないように求めている。

ブルームバーグのサステナブル・ファイナンス・ソリューション部門のグローバルヘッドを務めるパトリシア・トーレス氏は次のように述べている。

今日のビジネスリーダーには、 今後数年間にわたってジェンダー平等の進展をけん引する機会が与えられています。GEI指数の枠組みでは、 企業は同業他社と比較したり自社の目標と照らし合わせたりすることで、 進捗状況を評価することに役立ちます。 また、 投資家は、 広範におよぶGEIの開示データを用いて、 ジェンダー平等のベストプラクティスが企業の業績にいかに貢献しているかを様々な要因において評価することができます。

インクルージョンの文化

ブルームバーグによると、その他の重要な領域として、 GEI構成企業における人材の募集・雇用・確保に関するプロセスが挙げられる。 平均として、 GEI構成企業では女性の雇用が増えており、 83%の構成企業が女性に特化した直接的な採用戦略を持ち、 66%が性別を考慮したグローバルな報酬査定を実施している。 加えて、 家庭に配慮した方針を採用する企業も増えており、 例えば、 75%の構成企業が母親となった従業員のためにオフィス内の授乳室を提供し、 59%が保育手当を含む特別手当の支給をしている。

アクセンチュアのジュリー・スウィート会長兼CEOは次のように述べている。

今や企業にとって平等への取り組みに関するプログラムや方針、 慣行は当たり前のものとなりましたが、 今後も変化し続けるために欠かせないのは、 自分が組織の一員だと誰もが感じられる平等性の文化を創出することです。 これにより、 弊社はお客様へ『360度の価値』の提供を進めることができます。 GEIは、 企業の取り組みについて、 現在の進捗状況と改善の機会に注目できる貴重なツールです。

2022年のGEIデータでは、 インクルーシブな企業方針により、 コミュニティーが恩恵を受けていることも明らかになった。 半数以上(63%)の指数構成企業が、 女性向けファイナンス教育プログラムのスポンサーに、 65%が女性の教育に特化したSTEM(科学・技術・工学・数学)分野のプログラムのスポンサーになっている。

ブルームバーグ男女平等指数(GEI)について

GEIの標準化された開示報告の枠組みによって、 世界中の企業の職場・サプライチェーン・地域コミュニティーにおける女性へのサポートを投資家が比較することができる。 ブルームバーグのジェンダーに関する開示報告の枠組みは任意のものであり、 関連費用はない。 GEIは参照指数であり、 財務指標としての使用を目的したものではなく、 また、 ランク付けされたものでもない。 2022年GEI指数構成企業は、 ブルームバーグが設定したグローバル基準以上のスコアを獲得しており、 フレームワークの5項目に関して高水準の情報開示と総合的パフォーマンスであることを反映している。