「eMAXIS Slim 米国株式（S&P 500）」が1位に浮上−運用残高は1兆8,163億円
投資信託事情・イボットソンのデータによると、2023年2月末現在の投資信託の国内最大ファンド・ランキング（上位30位）（追加型株式投資信託、ETFは除く）は下表の通りでした。
三菱UFJ国際投信が運用する「eMAXIS Slim 米国株式（S&P500）」が、これまで長く１位を維持してきたアライアンス･バーンスタインが運用する「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型（為替ヘッジ無）予想分配金提示」を抜いて純資産総額１位に浮上しました。
「eMAXIS Slim 米国株式（S&P500）」は、米国を代表する株価指数である「Ｓ＆Ｐ５００指数」（配当込み、円換算ベース）の値動きに連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。同ファンドは2018年7月に設定され、信託期間は無期限。信託報酬率は年率0.0968％（税込）ですが、ファンドの純資産総額の大きさに応じて信託報酬率が低下するため、現在の純資産総額では概ね0.09575％となります。さらに、2023年4月25日より、0.09372%以内（税込）に引き下げることを同社は発表しています。
「eMAXIS Slim」は三菱UFJ国際投信が運用する低コストのインデックスファンドシリーズのブランド名で、2023年3月現在、次の13本のインデックスファンドが「eMAXIS Slim」シリーズとして運用されています。三菱UFJ国際投信では、eMAXIS Slimシリーズにおいて、業界最低水準の運用コストを目指しています。
- eMAXIS Slim 国内株式（TOPIX）
- eMAXIS Slim 国内株式（日経平均）
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
- eMAXIS Slim 米国株式（S&P500）
- eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
- eMAXIS Slim 全世界株式（除く日本）
- eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）
- eMAXIS Slim 全世界株式（3地域均等型）
- eMAXIS Slim 国内債券インデックス
- eMAXIS Slim 先進国債券インデックス
- eMAXIS Slim 国内リートインデックス
- eMAXIS Slim 先進国リートインデックス
- eMAXIS Slim バランス（8資産均等型）
一方、投信資料館がフォローしているレオス・キャピタルワークスが運用する「ひふみプラス」の2023年2月末の純資産総額は前月比1.6%（金額で78億円）増加し4,847億円でした。ひふみプラスは、主に日本の成長企業に投資するアクティブ運用の投資信託です。
なお、純資産上位30位ファンドにおいて、つみたてNISAで購入できるファンドはひふみプラスを含めて次の7本です。ひふみプラスを除く6本は全てインデックスファンドです。
- ひふみプラス
- eMAXIS Slim 米国株式（S&P500）
- eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
- SBI・バンガード・S&P500インデックスF《SBI・バンガード・S&P500》
- ＜購入・換金手数料なし＞ニッセイ外国株式インデックスファンド
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
投資対象
純資産額上位３0位までの投資信託の投資対象の分布を見ると、外国の株式に投資するファンドが18本と最も多く、日本の株式に投資するファンドと外国のREIT（不動産投資信託）に投資するファンドが各3本、アロケーション型と日本のREITに投資するファンドが各2本、外国の債券に投資するファンドと日本の債券に投資するファンドが各1本でした。
純資産上位30位までのファンドでは、引き続き海外の資産に投資するファンドが過半数を占めています。
資金増減
投資信託の人気を測るバロメーターでもある月中の資金増減（月中の販売額から売却額を差引いた額）を見ると、純資産額上位３0位までのファンドの中で資金増加額（純増額）が最も大きかったのは、2022年5月以降変わらず三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 米国株式（S&P500）」でした。同ファンドの2月の月間増加額は約465億円と大幅な資金流入が続いています。また、月間資金流入第2位は同じく三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）」で、流入額は約364億円でした。
なお、純資産上位３0位ファンドのうち2023年2月に資金増加となったのは、19ファンドでした。
月間資金増加額上位5位ファンドは次の表の通りです。5本中2本は三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slimシリーズ」のファンドでした。また5本中4本（eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、SBI・V・S&P500インデックスF《SBI・バンガード・S&P500》、楽天・全米株式インデックス・ファンド）はインデックスファンド で、いずれもつみたてNISA対象ファンドです。
＜月間資金増加額上位5位ファンド（2023年2月）＞
| 順位 | 運用会社 | ファンド名 | 月末純資産額（億円） | 月間資金増加額（億円） |
| 1 | 三菱UFJ | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 18,163.3 | 464.9 |
| 2 | 三菱UFJ | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 9,115.8 | 363.5 |
| 3 | 楽天 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド《楽天V全米株》 | 8,110.5 | 168.4 |
| 4 | SBI | SBI・V・S&P500インデックス・ファンド《SBI・バンガード・S&P500》 | 7,999.5 | 155.8 |
| 5 | 大和 | ダイワ・US-REIT・オープン(毎月) B(ﾍｯｼﾞ無) | 7,032.7 | 101.6 |
一方、純資産総額上位30位ファンドの中で、月中の資金減少額が最も大きかったのは、「AB・米国成長株投信D毎月(ヘッジ無)予想分配金提示」で、減少額は約129億円でした。純資産額上位３0位ファンドの中で月間の資金減少額が最も大きかったファンド5本は次の通りでした。
＜月間資金減少額が最も大きかったファンド＞
| 運用会社 | ファンド名 | 月末純資産額（億円） | 月間資金減少額（億円） |
| アライアンス | AB・米国成長株投信D毎月(ﾍｯｼﾞ無)予想分配金提示 | 17,560.8 | -129.2 |
| 東京海上 | 東京海上・円資産バランスファンド(毎月)《円奏会》 | 4,310.4 | -113.9 |
| One | グローバルESGハイクオリティ成長株式F(ﾍｯｼﾞ無)《未来の世界(ESG)》 | 8,455.9 | -103.5 |
| 日興 | グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回) | 3,920.7 | -78.7 |
| アライアンス | AB・米国成長株投信C毎月(ﾍｯｼﾞ有)予想分配金提示 | 3,711.9 | -66.0 |
騰落率（過去1年）− 騰落率トップは「ピクテ・グローバル・インカム株式F(毎月)」とフィデリティ・世界割安成長株投信 B(ヘッジ無)《テンバガー・ハンター》
次に、純資産総額３0位までの投資信託の騰落率を見ると、1年騰落率（運用成績）がプラスだったのは22本でした。
純資産総額３0位までの投資信託のうち過去1年の騰落率が最も高かったのは、ピクテ・ジャパン株式会社の「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月)」とフィデリティ投信の「フィデリティ・世界割安成長株投信 B(ﾍｯｼﾞ無)《テンバガー・ハンター》」で、両ファンドの2月の過去1年騰落率は16.2％でした。
純資産上位30位までのファンドの中で、過去１年の騰落率が最も高かった上位5本は次の通りです。
| 順位 | 運用会社 | ファンド名 | 純資産額（億円） | 騰落率（1年） |
| 1 | フィデリティ | フィデリティ・世界割安成長株投信 B(ﾍｯｼﾞ無)《テンバガー・ハンター》 | 4,462.7 | 16.2% |
| 1 | ピクテ | ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月) | 10,250.0 | 16.2% |
| 3 | フィデリティ | フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド | 5,252.3 | 13.3% |
| 4 | 三菱UFJ | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 4,105.2 | 10.0% |
| 5 | ニッセイ | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド | 4,515.4 | 9.9% |
| 5 | 野村 | 野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(DC) | 4,440.0 | 9.9% |
一方、純資産上位30位ファンドの中で、過去1年の運用成績が最も悪かったのは、アライアンス・バーンスタインの「AB・米国成長株投信C毎月(ヘッジ有)予想分配金提示」で騰落率は−18.0%でした。
過去1年の騰落率が最も低かった5本は次の通りです。投資のソムリエを除く4本はハイテク銘柄を中心とした成長株に投資するファンドでした。
| 運用会社 | ファンド名 | 純資産額（億円） | 騰落率（1年） |
| アライアンス | AB・米国成長株投信C毎月(ﾍｯｼﾞ有)予想分配金提示 | 3,711.9 | -18.0% |
| 三井住友トラスト | 次世代通信関連 世界株式戦略ファンド《THE 5G》 | 3,769.5 | -13.8% |
| One | 投資のソムリエ | 5,143.4 | -8.9% |
| ゴールドマン | netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(ﾍｯｼﾞ無) | 6,548.2 | -7.6% |
| One | グローバル・ハイクオリティ成長株式F(ﾍｯｼﾞ無)《未来の世界》 | 5,033.2 | -6.1% |
騰落率（過去5年）−騰落率トップは「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信B(ヘッジ無)」
また、過去5年の騰落率（年率）を見ると、純資産額上位30位までの投資信託の中で5年以上の運用実績があった25本のファンドのうち過去5年の騰落率（年率）がプラスだったのは22本でした。
過去5年の騰落率（年率）が最も高かったのは、アライアンス・バーンスタインの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信B(ヘッジ無)」で、騰落率（年率）は15.2%でした。
純資産上位30位の投資信託の中で、過去5年の騰落率が最も高かったファンド5本は次の通りです。5本中2本はアライアンス・バーンスタインの「米国成長株投信」シリーズの為替ヘッジ無しのタイプのファンドでした。
| 順位 | 運用会社 | ファンド名 | 純資産額（億円） | 騰落率（5年・年率） |
| 1 | アライアンス | アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信B(ﾍｯｼﾞ無) | 6,953.5 | 15.2% |
| 2 | アライアンス | AB・米国成長株投信D毎月(ﾍｯｼﾞ無)予想分配金提示 | 17,560.8 | 15.1% |
| 3 | 楽天 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド《楽天V全米株》 | 8,110.5 | 14.1% |
| 4 | 大和 | ダイワ・US-REIT・オープン(毎月) B(ﾍｯｼﾞ無) | 7,032.7 | 13.2% |
| 5 | ゴールドマン | netWIN GSテクノロジー株式ファンドB(ﾍｯｼﾞ無) | 6,548.2 | 12.8% |
【投資信託の純資産額ランキング（2023年2月）】
| 順位 | 運用会社 | ファンド名 | 純資産（億円） | 資金増減（億円） | 騰落率（1年） | 騰落率（5年・年率） |
| 1 | 三菱UFJ | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 18,163.3 | 464.9 | 8.6% |
– |
| 2 | アライアンス | AB・米国成長株投信D毎月(ﾍｯｼﾞ無)予想分配金提示 | 17,560.8 | -129.2 | 0.9% | 15.1% |
| 3 | ピクテ | ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月) | 10,250.0 | 15.5 | 16.2% | 10.0% |
| 4 | 三菱UFJ | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 9,115.8 | 363.5 | 8.6% | – |
| 5 | One | グローバルESGハイクオリティ成長株式F(ﾍｯｼﾞ無)《未来の世界(ESG)》 | 8,455.9 | -103.5 | -3.5% | – |
| 6 | 楽天 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド《楽天V全米株》 | 8,110.5 | 168.4 | 7.9% | 14.1% |
| 7 | SBI | SBI・V・S&P500インデックス・ファンド《SBI・バンガード・S&P500》 | 7,999.5 | 155.8 | 8.6% |
– |
| 8 | 大和 | ダイワ・US-REIT・オープン(毎月) B(ﾍｯｼﾞ無) | 7,032.7 | 101.6 | 4.4% | 13.2% |
| 9 | アライアンス | アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信B(ﾍｯｼﾞ無) | 6,953.5 | 18.9 | 0.9% | 15.2% |
| 10 | フィデリティ | フィデリティ・USリート・ファンドB(ﾍｯｼﾞ無) | 6,883.9 | 53.7 | 5.4% | 12.4% |
| 11 | ゴールドマン | netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(ﾍｯｼﾞ無) | 6,548.2 | -8.5 | -7.6% | 12.8% |
| 12 | 大和 | ダイワFW 日本債券セレクト | 6,142.1 | 24.2 | -4.9% | -0.9% |
| 13 | フィデリティ | フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド | 5,252.3 | 92.9 | 13.3% | 7.6% |
| 14 | One | 投資のソムリエ | 5,143.4 | -61.7 | -8.9% | -0.3% |
| 15 | 大和 | ダイワFW 日本株式セレクト | 5,083.4 | 12.7 | 7.0% | 4.3% |
| 16 | One | グローバル・ハイクオリティ成長株式F(ﾍｯｼﾞ無)《未来の世界》 | 5,033.2 | -42.6 | -6.1% | 8.8% |
| 17 | レオス | ひふみプラス | 4,846.9 | 5.7 | 3.2% | 2.0% |
| 18 | フィデリティ | フィデリティ・日本成長株・ファンド | 4,566.8 | -32.4 | 3.0% | 3.8% |
| 19 | ニッセイ | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド | 4,515.4 | 24.3 | 9.9% | 12.7% |
| 20 | One | 新光 US-REIT オープン《ゼウス》 | 4,484.9 | 56.7 | 1.2% | 9.7% |
| 21 | フィデリティ | フィデリティ・世界割安成長株投信 B(ﾍｯｼﾞ無)《テンバガー・ハンター》 | 4,462.7 | 40.1 | 16.2% |
– |
| 22 | 野村 | 野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(DC) | 4,440.0 | -8.7 | 9.9% | 12.7% |
| 23 | 三井住友トラスト | J-REIT・リサーチ・オープン(毎月) | 4,311.3 | 56.8 | 2.4% | 5.8% |
| 24 | 東京海上 | 東京海上・円資産バランスファンド(毎月)《円奏会》 | 4,310.4 | -113.9 | -3.3% | -1.1% |
| 25 | 大和 | ダイワJ-REITオープン(毎月) | 4,172.2 | 71.6 | 1.3% | 4.8% |
| 26 | 三菱UFJ | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 4,105.2 | 57.6 | 10.0% | 12.7% |
| 27 | 日興 | グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回) | 3,920.7 | -78.7 | 8.4% | 11.6% |
| 28 | 三井住友トラスト | 次世代通信関連 世界株式戦略ファンド《THE 5G》 | 3,769.5 | -46.2 | -13.8% | 7.2% |
| 29 | アライアンス | AB・米国成長株投信C毎月(ﾍｯｼﾞ有)予想分配金提示 | 3,711.9 | -66.0 | -18.0% | 7.8% |
| 30 | キャピタル | キャピタル世界株式ファンド | 3,550.1 | 52.8 | 4.7% | 11.5% |
（データ出所：投資信託事情・イボットソン）
