7月のETF(上場投資信託)市場の概況
東京証券取引所が公表したETF相場表によると、2023年7月のETF市場全体の月間売買代金(立会内とToSTNetの合計)は前月から15.5%減少し、約5.53兆円になりました。1日当たり売買代金も前月から約18.1%減少して約2,767億円になりました。
日本銀行によるETFの買い入れは実施されませんでした。
7月に、次の3本のETFが新規に上場しました。
- グローバルX Morningstar 米国中小型 Moat ETF(2252)
- グローバルX スーパーディビィデンド-US ETF(2253)
- グローバルX チャイナEV&バッテリー ETF(2254)
グローバルX Morningstar 米国中小型 Moat ETF (2252)は、米国の中小型株式を構成銘柄とする「Morningstar 米国中小型モート・フォーカス株式指数(円換算)」に連動する投資 成果を目指すETFです。米国の中小型株の中から、米国Morningstar社の競争優位性を評価するエコノミック・モート・レーティングという評価に基づき競争優位性を維持できると評価された企業のうち、割安だと判断された銘柄で構成されています。
グローバルX スーパーディビィデンド-US ETF(2253)は、米国に上場する普通株式、MLP、不動産投資信託のうち、高い利回りおよび低いベータ値を示す50銘柄で構成する「Indxx SuperDividend U.S. Low Volatility Index(円換算)」に連動する投資成果を目指すETFです。
グローバルX チャイナEV&バッテリー ETF(2254)は、中国のEVおよびEVに関連するバッテリービジネスを行う企業の株式を構成銘柄とする「Solactive China Electric Vehicle and Battery Index(円換算)」に連動する投資成果を目指すETFです。
これらの3本のETFの管理会社はGlobal X Japan株式会社です。
一方、次の19本のETFが7月に上場廃止になりました。
- UBS ETF ユーロ圏大型株50(ユーロ・ストックス50)(1385)
- UBS ETF 欧州株(MSCIヨーロッパ)(1386)
- UBS ETF ユーロ圏株(MSCI EMU)(1387)
- UBS ETF ユーロ圏小型株(MSCI EMU小型株)(1388)
- UBS ETF 英国大型株100(FTSE 100)(1389)
- UBS ETF MSCIアジア太平洋株(除く日本)(1390)
- UBS ETF スイス株(MSCIスイス20/35)(1391)
- UBS ETF 英国株(MSCI英国)(1392)
- UBS ETF 米国株(MSCI米国)(1393)
- UBS ETF 先進国株(MSCIワールド)(1394)
管理会社であるUBS ファントド・マネシジメント(ルクセンブルク)エス・エイのプレスリリースによると、これら10銘柄のETFは、上場から約8年となっていますが、一定の残高増加はあったものの、純資産総額が10銘柄で約30億円にとどまり(2023 年 2 月末現在)、将来の成長可能性および経済合理性などを慎重に評価した結果、各ETFを終了することとしたということです。つまり、残高が少なく効率的な運用を継続することが困難になったと理解できます。
2023年7月末現在、東京証券取引所には284本のETFが上場しています。
なお、野村アセットマネジメントの「NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信」(銘柄コード:1324)については、ロシアのウクライナ侵攻の影響でロシア株式の取引を行うことが困難になったことから2022年3月17日以降売買が停止された状態が続いています。
ETFの売買代金ランキング
月間の売買代金が最も大きかった銘柄は、2023年7月も野村アセットマネジメントの運用する「NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」(銘柄コード:1570)でした。同ETFの7月の月間売買代金は約2.58兆円(立会内とToSTNeT合計)で、全体の約5割(46.6%)を占めました。また、取引が一部の銘柄に集中した状態は継続しており、売買代金上位10位銘柄の売買代金の合計が全体の約8割を占めています。
売買代金ランキング(上位10位銘柄)は次の表の通りでした。売買代金上位10位ファンドの全てが日本の株式市場を対象とするETFで、この内7本がブルベア型のETFでした。引き続きブルベア型を利用した短期売買がETF取引の中心になっていると推測されます。
【2023年7月 ETF売買代金ランキング上位10位銘柄】
順位 | 銘柄コード | ファンド名 | 売買代金(百万円) | 運用会社 |
1 | 1570 | NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 | 2,578,820 | 野村 |
2 | 1357 | NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 | 406,813 | 野村 |
3 | 1459 | 楽天ETF‐日経ダブルインバース指数連動型 | 281,471 | 楽天 |
4 | 1321 | NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 | 263,375 | 野村 |
5 | 1579 | 日経平均ブル2倍上場投信 | 254,483 | シンプレクス |
6 | 1458 | 楽天ETF‐日経レバレッジ指数連動型 | 238,056 | 楽天 |
7 | 1360 | 日経平均ベア2倍上場投信 | 201,008 | シンプレクス |
8 | 1306 | NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信 | 97,805 | 野村 |
9 | 1320 | iFreeETF 日経225(年1回決算型) | 78,396 | 大和 |
10 | 1568 | TOPIXブル2倍上場投信 | 56,524 | シンプレクス |
(データ出所:東京証券取引所 ETF相場表2023年7月版)
値付日数の少ないETF
2023年7月の東京証券取引所の営業日は20日でしたが、この20日全営業日に値段が付いたETFは、新規上場銘柄、上場廃止銘柄及び売買停止中の銘柄を除いた280本中232本、全体の約83%でした。値付日数の平均は19日でした。値付日数が10日以下だったETFは14本ありました。
売買高が小さいETFや値付日数が少なく、毎日売買が成立していないETFは、購入したい時に購入したい値段で買えない、売却したい時に売却したい値段で売れないなどと言う流動性リスクが伴います。購入前に各ファンドの流動性を確認することが大切です。
2023年7月の値付日数が10日以下だったファンド
銘柄コード | ファンド名 | 売買代金(百万円) | 値付日数 |
2248 | iFreeETF S&P500(為替ヘッジあり) | 610.9 | 10 |
2560 | MAXISカーボン・エフィシェント日本株上場投信 | 8.5 | 10 |
1480 | NEXT FUNDS 野村企業価値分配指数連動型上場投信 | 1.7 | 10 |
1479 | iFreeETF MSCI日本株人材設備投資指数 | 89.7 | 9 |
2553 | One ETF 南方 中国A株 CSI500 | 1.3 | 8 |
2861 | 上場インデックスファンドフランス国債(為替ヘッジなし) | 0.6 | 8 |
2850 | NEXT FUNDS SolactiveジャパンESGコア指数連動型上場投信 | 1.9 | 7 |
1676 | ETFS 貴金属バスケット上場投資信託 | 1.4 | 7 |
2526 | NZAM 上場投信 JPX日経400 | 41.0 | 5 |
1465 | iFreeETF JPX日経400インバース・インデックス | 10.5 | 5 |
2862 | 上場インデックスファンドフランス国債(為替ヘッジあり) | 444.9 | 4 |
1490 | 上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ(βヘッジ) | 2.7 | 3 |
1596 | NZAM 上場投信 TOPIX Ex-Financials | 0.5 | 2 |
1485 | MAXIS JAPAN 設備・人材積極投資企業200上場投信 | 1.1 | 1 |