フィデリティ投信、2023年「ビジネスパーソン1万人アンケート」の結果を発表


フィデリティ投信は、2023年10月13日、2023年ビジネスパーソン1万人アンケートの結果を発表した。フィデリティは2010年よりこの調査を通じて、日本全国の会社員と公務員の資産形成や退職準備に関する定点観測を続けている。10回目となる今回は、資産運用立国の実現に向けた施策が続々と打ち出され、新NISA(少額投資非課税制度)のスタートが間近に迫る中での実施になった。新たにZ世代を若年層から分離し、彼ら特有の行動様式の解析も行っている。

今回の調査について、 フィデリティ・インスティテュートの首席研究員 浦田春河氏は次のように分析している。

NISAの認知度は高く、非課税枠の拡大につれて投資金額を増やす機運が高まっていることが今回の調査でわかりました。インフレと賃上げも投資の促進要素として作用し、SNS等からの情報供給の加速とも相まって、資産運用をしようという雰囲気が醸成されています。一方、金融リテラシーと会社への愛着や貢献したいという意識(エンゲージメント)の相関関係も観察されており、人的資本経営の観点から従業員への金融教育に取り組む経営者が増えれば、資産運用立国の実現も近づいてくるでしょう。

 

【調査結果抜粋】

一般NISA上限枠利用者の約半数が、新NISAでも上限枠まで投資予定

現在、一般NISAで上限枠(120万円)まで投資している人の約半数、つみたてNISA上限枠(40万円)まで投資している人の20%が、新NISAで投資上限枠(360万円)まで投資する予定と回答。

 

現行一般・つみたてNISA上限利用者は、新NISAでいくら投資予定か

現行一般・つみたてNISA上限利用者は、新NISAでいくら投資予定か

 

SNSやニュース系Webなどネット経由の情報収集がさらに加速

男性はYouTube、女性はInstagramの利用者が多く、X(Twitter)、TikTok、Instagramは若年層、Facebook、YouTube、LINEは高齢になるほど情報源として利用されている。Z世代はSNSに加えて、知人や家族、職域マネー教育を利用する割合が他世代よりも高い。

 

情報収集に利用しているSNS(SNSを情報経路としている人ベース)

情報収集に利用しているSNS

 

投資家比率は昨年に続き過半数、インフレ対策での投資増がトップ

投資を増やした人の理由は「インフレ下で、預貯金だけでは資産が目減りするから」が最多、次いで「投資の知識・情報が増えたから」となった 。投資を減らした人の理由は「支出が増えて投資資金が減ったから」が最多となり、こちらにもインフレの影響が見られた。

 

投資を増やした理由 vs 減らした理由 (複数回答可能)

投資を増やしたい理由

 

職域マネー教育の普及は30%程度、人的資本経営の観点からも充実が求められる

金融リテラシーが高い人や副業をしている人ほど、エンゲージメントが高いことが観察された。職域マネー教育の充実が人的資本経営の観点からも求められる。一方、職域マネー教育が役に立たなかった理由として「具体的な話がなく、自分ごとにならない」「内容が難しい」という声が多く、今後一層の工夫が必要である。

 

会社への愛着や貢献したいという意識(エンゲージメント)を左右するのは何か

会社への愛着や貢献したいという意識(エンゲージメント)を左右するのは何か

 

フィデリティ・ビジネスパーソン1万人アンケート2023年のフルレポート→https://retirement.fidelity.co.jp/white-papers/businessperson-survey/

 

「フィデリティ・ビジネスパーソン1万人アンケート」*¹とは

フィデリティは2010年より、日本全国の20代から50代*²の会社員と公務員の資産形成や退職準備に関する動向の調査を続けており、今回で10回目。2023年の調査は6月30日~7月7日にインターネットを通じて10,854人を対象に実施。

調査参加者の年代区分: Z世代:20~26歳、若年層:27~36歳、中堅層:37~52歳、高齢層:53~64歳

過去調査の実施年: 2010年、2013年、2014年、2015年、2016年、2018年、2019年、2020年、2022年

*¹ 旧「フィデリティ・サラリーマン1万人アンケート」

*² 2022年からは対象を20代から60代に拡大