野村アセットマネジメントは2023年11月1日、「運用における責任投資の基本方針(以下、責任投資の基本方針)」「日本企業に対する議決権行使基準(以下、議決権行使基準)」を改定した。
野村アセットマネジメントによると、同社は責任投資の基本方針において、「投資先企業の望ましい経営のあり方」を定め、顧客の資産を預かる運用受託機関として、投資先企業の企業価値の向上と持続的成長の実現に向けての継続的な働きかけを行っている。
「投資先企業の望ましい経営のあり方」の実現のためには、投資先企業において、社外取締役を主体とする取締役会が経営陣を監督する、モニタリング・ボード※1の体制に移行することが重要と考え、同社はこれを後押ししてきた。今回の改定は、モニタリング・ボードへの移行を含む実効的なESG課題の取組みを推進することを企図している。
野村アセットマネジメントは次のように述べている。
今後とも当社は、「責任ある投資家」として投資先企業に対し、目的を持った対話(エンゲージメント)や議決権行使等のスチュワードシップ活動に取り組むことで、投資先企業の企業価値の向上と持続的成長の実現を後押しするとともに、お客様の利益の最大化に努めてまいります。
【今回の改定の概要】
責任投資の基本方針
- 「投資先企業の望ましい経営のあり方」における、ESG課題への取組みに関する内容を拡充するほか、資本の効率的活用による企業価値創造において、資本コストや株価を意識した経営を求める姿勢を明記する。
議決権行使基準
- ESG課題への実効的な取組みを後押しするため、TOPIX100を構成する企業を対象に、日本企業のロールモデルとなることを期待する基準(ロールモデル基準)を新設する。ESG課題への取組みが明らかに不十分と判断した場合には取締役選任議案への賛否に反映する。なお、同基準については、投資先企業にて対応する時間を確保するため、野村アセットマネジメントにおける賛否への反映は2024年11月以降とする。
- 実効性を伴うコーポレートガバナンスの強化を目指した改定を行う。
- 外取締役の人数の最低水準を「過半数」とする。但し、支配株主がいない会社において、指名に関するガバナンスを整備している場合※2は最低水準を「1/3」とする。なお、この基準については、投資先企業にて対応する時間を確保するため、同社での適用開始は2024年11月以降とする。
- 監査役会設置会社の取締役の任期に係る基準(任期が2年の場合に反対)を新設する。
- 報酬に関するガバナンスが整備されていない場合※2、役員報酬に係る全ての議案に反対する(改定前は一部議案のみ)。
- 社外取締役が過半数に満たない場合又は報酬に関するガバナンスが整備されていない場合、役員退職慰労金に係る全ての議案に反対する(改定前は一部議案のみ)。
- モニタリング・ボードの要件に取締役の人数(5名以上、20名未満)を基準に加えるとともに、これを満たさない場合に反対する基準を新設する。
(参考資料)
「日本企業に対する議決権行使基準」等の改定について http://www.nomura-am.co.jp/special/esg/pdf/vote_policy20231101.pdf
運用における責任投資の基本方針 http://www.nomura-am.co.jp/special/esg/pdf/basicpolicy.pdf?20231101
「グローバルな議決権行使の基本方針」と「日本企業に対する議決権行使基準」 http://www.nomura-am.co.jp/special/esg/pdf/vote_policy.pdf?20231101
※1 モニタリング・ボードとは、社外取締役を中心に構成され、不特定多数の株主に代わって経営陣を監督することを主たる役割・責務とする取締役会。野村アセットマネジメントの議決権行使基準では、モニタリング・ボードとして満たすべき8つの要件(社外取締役の人数が過半数、監査役会設置会社の場合は取締役の任期が1年等)を定めている。詳細→「責任投資レポート2022」 http://www.nomura-am.co.jp/special/esg/pdf/ri-report2022_all.pdf の23-26ページを参照。
※2 指名・報酬に関するガバナンスを整備している場合とは、法定又は任意の指名・報酬委員会を設置し、その委員に2名以上の社外取締役を含み、かつ委員のうち社内取締役の人数が社外取締役の人数より少ない場合をいう。