時として金銭は言葉や道理を超えて威力を発揮します。それがたとえ、くだらない人間であったとしてもお金をたくさん持っていれば、世間の人は「大家(たいか)の旦那さん」とばかりにお世辞を言ったり、ほめそやすことがあります。夜の銀座や六本木だけでなく、ビジネスの世界でも、そんなことは結構あるものです。
しかし、羽振りのいいうちは自然と人も集まってきますが、ひとたびお金がなくなればただの人。お金を失ったときはじめて、自分自身の人柄ではなく、金銭の力が多くの人を集めていたに過ぎなかったと思い知るのです。
英語では同様のことわざを「Jack would be a gentleman if he had money.」と言います。「お金があれば、どこの誰でも紳士になれる」という意味です。経歴や境遇に関係なく、金銭の力で人から一目置かれる立場や地位を手に入れることもできる。そういう立場が人をつくることもあるといえるでしょう。
お金の威光にすがった俄仕立ての旦那や紳士で満足するより、お金の威力を知ったうえでそれを活用し、したたかに相応の地位を手に入れる。同じ「金に物言わす」なら、金銭の力以上に相手を圧倒できる人格や実力を身につけたうえで、お金の威力を有効に活用するほうが得策かもしれませんね。