円相場は需要と供給で決まる。
需要と供給は国家間の収支で決まる。
日本は、1年間で11・4兆円、1カ月当たり9500億円の経常収支の黒字(平成9年ベース。平成10年は8月までで10・1兆円、1カ月当たり1兆2600億円)があります。 たとえば、日本のA社が1カ月に100万ドル輸出しているとします。その会社は、輸出で得たドルを円に交換する必要があります。つまり、ドルを売って円を買うわけです。 そういう人や会社が多ければ多いほど、円に対する需要が高まり円高になります。
また、日本のB社が1カ月に50万ドル輸入しているとします。その会社は、その代金をドルで支払わなければならないため、円をドルに替える必要があります。これを円売りドル買いといいます。 そういう人や会社が多いほど、円に対する供給が高まり円安になります。 A社とB社の差引は輸出が輸入よりも50万ドル多く、全体としてドル売り円買いが多いということになります。日本の貿易収支の黒字は、こうしたA社とB社の差引のようなものが積み上がった数値だと考えればよいのです。 また、C社という保険会社が、米国の株式や債券を買うとします。ドルで買うわけですから、円を売ってドルを買い、そのドルで株式などを買うことになります。これが多ければ多いほどドル買いの要求が高まり、貿易黒字の分を埋めて、もっともっとドルを買うということになります。
つまり、米国にお金を貸したり、米国の株式を買ったりする人や会社が多いと、それらのバランス(差引)は赤字となります(資本収支の赤字という)。これが貿易収支などの黒字額よりも多いと、全体で、日本の国際収支は赤字となります。 逆に、これらのバランスがプラスだと、日本の国際収支は黒字となります。