全ての手続きが終わり、第一回目の掛け金の引き落としを確認した頃、郵政事業庁から封筒が届いた。中を開けると、「『ダ・ヴィンチ』信託約款変更(予定)のお知らせ」が入っていた。「ダ・ヴィンチ」は私が選択したファンドではないが、郵政事業庁が確定拠出年金で提供している投資信託の一つではある。恐らく、今後も取扱い商品に信託約款の変更が実施される場合には、加入者全員に通知が届くということになるのだろう。保有していないのだからインターネット上に掲載してくれれば充分だと思うのは私だけだろうか。しかも、よく読んでみると、確定拠出年金の加入者で同ファンドを選択していても、約款の変更について異議申し立て手続きの対象とはなっていないという。
ここで少し説明しておくと、通常、投資信託の信託約款が変更される場合には、その旨が新聞公告される。日本経済新聞において公告されるのが一般的だ。変更予定内容が示され、異議申立期間が設けられる。仮に、自分が保有している投資信託の約款変更について、異議がある場合には、運用会社に対して書面にて信託約款変更に関する異議を述べることができる。異議申立期間中に異議を申し立てた受益者の保有する受益権口数の合計が公告日現在における受益権総口数の2分の1を超えた場合には、信託約款の変更は行われない。
しかし、これまでに信託約款の変更に対する異議申立てが受益権総数の2分の1を超えたという話は聞いたことがない。恐らく、これまでに異議申立てが2分の1を超えたことなど、一度もなかったのではないだろうか。また、公告で充分かどうかという点についても疑問が残る。日本経済新聞の公告を毎日チェックしている受益者が何人いるだろう。更に、公告には、その変更によってファンドにどんな影響があるのか、自分にとってメリットのあることなのか、デメリットとなることなのかを判断するに充分な情報や説明が掲載されてはいない。公告される変更は、法律上「信託約款の重大な内容の変更」に該当するものである。しかも、約款は目論見書の中でも最もわかりずらい部分なのだ。公告に加えて、投資家にとっての影響といった詳しい説明が必要であると思う。