2003年10月9日付けのNightly Business Reportで、米国の401kと退職年齢についてのおもしろい記事を見つけました。
記事によると、米国では1980年代はじめまでは、数十年にわたり、退職年齢は早まってきたものの、1980年中頃にその傾向が終わりました。その最大の要因が401kの拡大だというのです。なぜ401kの導入・拡大が退職年齢の引き上げにつながったのでしょうか。
記事では次の3つの理由を挙げています。
- 確定給付と違い、確定拠出年金である401kには早期退職に伴うインセンティブがない
- 401kでは、年金型よりも一時金として受給するケースが多い。ところが一時金として受け取ったお金を使ってしまうことに抵抗を感じる人が多く、長期間働いて、このお金を増やし、そこから十分な利息収入を得られるようにしたい(できるだけ元本は減らさずに)と考える傾向にある
- 401kによる受給額は運用次第で増減し、株価の下落の影響を直接受ける。このため、長く働き、累積額を増やしておきたいと考える
結果として、401kに加入している人は、従来型の年金制度に加入している人よりも平均で15カ月長く働くということです。日本でも、米国と同じような要因が働く可能性もあります。また、公的年金の給付開始年齢が引き上げられる可能性もあり、否が応でも退職年齢は上がらざるをえないでしょう。しかし、現実問題として企業の退職年齢は60歳前後。リストラで50代にまで下がっています。仕事はしていたいけど、働く場所がない。そんな時代がそこまで来ているようです。