朝日新聞のHPに「社会的責任投資ファンドが増加、ロハスブームが後押し」という記事が掲載されていました。読んでみると、確定拠出年金でも社会的責任投資ファンドが順調に純資産総額を増やしているということです。
社会的責任投資ファンドは、従来の財務的分析に加え、企業が社会的責任をきちんと、そして積極的に果たしているかを投資判断の材料に加えて投資先を決定するファンドです。世界的に、そういう視点で投資を行う投資家が増えていると言われています。米国には、社会的責任投資専門の運用会社も存在しています。
しかし、そもそも企業の社会的責任とは何なのかという点については、概念としては多くの人が理解しているものの、定義となると国際的なルールが確立されていないというのが現状です。各ファンドにおいても、投資基準は設けているものの、判断は各運用会社や運用担当者の主観が大きく影響します。また、投資家が考える社会的責任投資とファンドの考える社会的責任投資が異なるということも考えられます。
世界的には企業の社会的責任とは何かについて、ISO(国際標準化機構)における議論を中心として、様々な議論がこの10年程続いています。今年5月に開催されたISOのSR(社会的責任)に関するワーキンググループ総会では、社会的責任の暫定定義は次のように決まりました。
「組織の活動が社会と環境に与える影響について、組織が責任を果たすための行動。これらの行動は、社会の関心および持続的発展と調和し、倫理的な行動、法令遵守、政府間文書に基礎を置き、組織の継続した行動に組み込まれる。」
大枠が見えてきたとはいえ、具体的なルールや、これを個別企業への投資判断にどう反映させるかという部分については、ISOや各国の業界団体などでの議論が継続されることになります。社会的責任投資ファンドを選択する際には、各ファンドの投資方針をしっかり読んで、本当に自分が考えている社会的に責任ある投資が行われるファンドかどうかを見極めることが大切です。