Markit iBoxx 米ドル建てリキッド投資適格指数 #
Markit iBoxx 米ドル建てリキッド投資適格指数は、先進国の企業が発行した米ドル建ての投資適格債券の動向を示す債券指数です。英語ではMarkit iBoxx USD Liquid Investment Grade Indexと記載されます。同指数は流動性のある米ドル建ての社債で構成されていて、時価総額で加重平均されていますが、各発行体の指数全体に対する構成比率の上限は3%に制限されています。
投資適格債券とは #
では、この指数が対象としている投資適格債券とはどのような債券でしょうか。
投資適格債券とは、債券の中で、スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、フィッチ・レーティングスといった格付機関が実施する信用格付において投資適格であるという評価を得ている債券のことです。
信用格付とは、債券を発行した会社が、債券の元利金の支払いを確実に行える能力があるかを評価したものです。例えば、スタンダード・アンド・プアーズの場合では、債券を大きくはAAAからDまでの12のランクに格付していますが、このランクにおいてBBBー(BBBマイナス)以上の格付を投資適格格付と呼び、BB+(BBプラス)以下を投機的格付と呼びます。格付が高いほど、債務履行の可能性が高い、より安全な投資対象であることを意味します。
Markit iBoxx 米ドル建てリキッド投資適格指数は、スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、フィッチ・レーティングスのうち少なくとも1社が投資適格の格付けを付与している米ドル建て債券で構成されています。
指数名について #
Markit iBoxx 米ドル建てリキッド投資適格指数は、耳慣れない言葉が多く含まれていますが、分解すると次のようになります。
Markitとは? #
指数名の「Markit」(マークイット)は、この指数を算出・公表している会社のことです。Markit社は、2003年に英国に設立された指数算出会社ですが、2016年7月にIHS社と合併し、社名をIHS Markitに変更しました。その後、2022年2月に、IHS MarkitはS&P グローバル(NYSE:SPGI)と合併し、現在はS&Pグローバルの一部門になっています。
iBoxxとは? #
iBoxxは、IHS Markitが算出・公表している債券指数のブランド名です。IHS Markitが算出している債券指数にはこの「iBoxx」が使われています。
リキッドとは? #
リキッドは英語で流動性があることを意味する「liquid」のことで、一定の流動性の条件を満たした債券を組み入れ対象としていることを意味しています。なお、英語で流動性のことをliquidityと言います。
つまり、指数名からは、Markitが開発した債券指数(iBoxx)で、米ドル建てのリキッド(流動性の高い)な信用度の高い債券を対象としているということがわかります。
Markit iBoxx 米ドル建てリキッド投資適格指数をベンチマークとするETF #
東京証券取引所に上場している「iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり)(銘柄コード:1496)」は、Markit iBoxx 米ドル建てリキッド投資適格指数(TTM円ヘッジ付き)」と の連動を目指すETFです。運用会社はブラックロック・ジャパンです。
TTM円ヘッジ付きとは、東京時間午前10時の仲値(TTM)を用いて円ベースにした指数という意味です。同指数は米ドル建てで算出されますが、東京証券取引所に上場しているETFは円で取引されるため指数も円建てのものが使われています。なお、TTMはTelegraphic Transfer Middle Rateの略称で、外国為替市場の東京時間の午前10時に決定されるドル・円レートの仲値のことです。仲値は、その日の為替レートの基準値であり、銀行が顧客との間で行う取引は通常、この仲値を基準にして実施されます。
Markit iBoxx 米ドル建てリキッド投資適格指数のまとめ #
Markit iBoxx米ドル建てリキッド投資適格指数は、流動性が高い米ドル建て投資適格債券の動向を示す時価総額加重型指数で、発行体ごとの比率は3%に制限されています。この指数は、少なくとも1社の格付機関によって投資適格と評価された債券で構成され、現在はS&P Dow Jones Indicesが算出しています。同指数をベンチマークとするETFとして、為替ヘッジ付きの「iシェアーズ米ドル建て投資適格社債ETF」が東京証券取引所に上場しています。