MSCI 日本株女性活躍指数(WIN) #
MSCI日本株女性活躍指数(WIN)は、日本企業の中で女性の活躍推進に積極的に取り組んでいる企業を対象にした株式指数です。この指数は、女性の社会進出や企業内での役職登用の促進を評価基準にして、企業のジェンダー平等への取り組みを反映させています。
MSCI日本株女性活躍指数は、環境・社会・企業統治の観点で企業を評価するESG指数の一つであり、世界的な指数算出会社であるMSCI社が独自の基準で、女性の活躍度を評価し、指数を算出・公表しています。
MSCI日本株女性活躍指数の銘柄選定方法 #
MSCI日本株女性活躍指数では、時価総額上位700銘柄で構成される「MSCIジャパンIMIトップ700指数」を構成する銘柄の中から、MSCI社が新たに開発した性別多様性スコアに基づき、各業種内で性別多様性に優れた企業を選別して構成されます。性別多様性スコアは、女性活躍推進法により開示されるデータと企業の開示情報等に基づいて算出されます。
MSCI社の性別多様性スコアでは、次の点などを評価しています。
- 新規採用者に占める女性比率
- 従業員に占める女性比率
- 男性と女性の平均雇用年数の違い
- 管理職における女性比率
- 取締役会における女性比率
- 上記の比率の開示状況
- 多様性に関するポリシーと経営者の監督
- 多様性を改善する取り組み
なお、MSCI ESG リサーチが非常に深刻な不祥事を起こしている、あるいは人権や労働者権利において深刻な不祥事を起こしていると評価する企業は対象外となります。
MSCI日本株女性活躍指数の構成銘柄 #
MSCI日本株女性活躍指数の組入比率は各銘柄の女性活躍や企業業績に応じて変動します。また、単一銘柄の組み入れ上限は5%とされています。構成銘柄および組入比率の見直しは半期毎に行なわれます。2024年6月現在、350銘柄で構成されており、上位10位銘柄は次の通りです。
MSCI日本株女性活躍指数の上位10位銘柄(2024年6月時点)
コード | 銘柄名 | 業種 | WINにおけるウェイト(%) | 性別多様性スコア |
---|---|---|---|---|
8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 金融 | 5.334163 | 7.9 |
8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 金融 | 3.820441 | 8.05 |
6098 | リクルートホールディングス | 資本財・サービス | 3.760282 | 9.1 |
8035 | 東京エレクトロン | 情報技術 | 3.527586 | 5.5 |
8766 | 東京海上ホールディングス | 金融 | 3.212235 | 8.35 |
9984 | ソフトバンクグループ | コミュニケーション・サービス | 2.532966 | 6.55 |
4568 | 第一三共 | ヘルスケア | 2.398462 | 6.25 |
8411 | みずほフィナンシャルグループ | 金融 | 2.228284 | 7.75 |
8001 | 伊藤忠商事 | 資本財・サービス | 2.208538 | 7.15 |
4063 | 信越化学工業 | 素材 | 1.833167 | 4.3 |
9433 | KDDI | コミュニケーション・サービス | 1.683807 | 6.25 |
7741 | HOYA | ヘルスケア | 1.573849 | 5.975 |
9434 | ソフトバンク | コミュニケーション・サービス | 1.552079 | 6.85 |
4502 | 武田薬品工業 | ヘルスケア | 1.460401 | 5.63125 |
8725 | MS&ADインシュアランスグループホールディングス | 金融 | 1.367658 | 8.65 |
6981 | 村田製作所 | 情報技術 | 1.246464 | 5.95 |
6146 | ディスコ | 情報技術 | 1.214699 | 5.525 |
4661 | オリエンタルランド | 一般消費財・サービス | 1.182290 | 6.975 |
9432 | 日本電信電話 | コミュニケーション・サービス | 1.167446 | 6.1 |
8591 | オリックス | 金融 | 1.108912 | 7.6 |
GPIFによるMSCI日本株女性活躍指数の採用 #
MSCI日本株女性活躍指数は、世界最大級の年金基金である
が採用した日本株の3つのESG指数の一つです。GPIFがこれらの指数に連動したパッシブ運用を開始したと2017年7月3日に発表したことで、これらの指数への注目が集まりました。
女性活用推進法とは #
女性活躍推進法(正式名称が「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)は、女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図ることを目的に2016年4月1日に施行されました。女性活躍推進法の基本原則は次の通りです。
- 女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活における活躍に係る男女間の格差の実情を踏まえ、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性に対する採用、教育訓練、昇進、職種及び雇用形態の変更その他の職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じ、かつ、性別による固定的な役割分担等を反映した職場における慣行が女性の職業生活における活躍に対して及ぼす影響に配慮して、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として、行われなければならない。
- 女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活を営む女性が結婚、妊娠、出産、育児、介護その他の家庭生活に関する事由によりやむを得ず退職することが多いことその他の家庭生活に関する事由が職業生活に与える影響を踏まえ、家族を構成する男女が、男女の別を問わず、相互の協力と社会の支援の下に、育児、介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ職業生活における活動を行うために必要な環境の整備等により、男女の職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として、行われなければならない。
- 女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならない。
→女性活躍推進法(正式名称 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律
女性活用推進法による開示情報 #
女性活躍推進法により、企業(従業員301人以上)には、次が義務付けられました。
- 女性の活躍に関する状況の把握、改善すべき事情についての分析(女性採用比率、勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率等)
- 上記の状況把握・分析を踏まえ、定量的目標や取組内容などを内容とする「事業主行動計画」の策定・公表
- 女性の活躍に関する情報の公表
また、女性活躍推進法により、企業(従業員301人以上)には、次の情報公開も義務付けられました。
女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績として、次の8項目から1項目と男女の賃金の差異について #
- 採用した労働者に占める女性労働者の割合
- 男女別の採用における競争倍率
- 労働者に占める女性労働者の割合
- 係長級にある者に占める女性労働者の割合
- 管理職に占める女性労働者の割合
- 役員に占める女性の割合
- 男女別の職種または雇用形態の転換実績
- 男女別の再雇用または中途採用の実績
職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績として、以下の7項目から1項目 #
- 男女の平均継続勤務年数の差異 210事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続
- 雇用割合
- 男女別の育児休業取得率
- 労働者の一月当たりの平均残業時間
- 雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
- 有給休暇取得率
- 雇用管理区分ごとの有給休暇取得率
これにより、企業は「女性活躍推進法に基づく情報公表」「行動計画」を既に企業のHPなどで、女性の活躍度を示す情報公開を実施しています。これらの情報も、MSCI日本株女性活躍指数の構成銘柄の選定に利用されます。
MSCI日本株女性活躍指数をベンチマークとするETF #
「iFreeETF MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」(銘柄コード:1652)は、同指数をベンチマークとするETFで、2017年9月26日に東京証券取引所に上場しました。運用会社は運用会社は大和アセットマネジメントです。
MSCI 日本株女性活動指数まとめ #
MSCI日本株女性活躍指数は、日本企業の中で女性の活躍推進に積極的に取り組む企業を選定したESG株式指数です。性別多様性スコアに基づいて銘柄を選び、女性管理職比率や男女の雇用格差などを評価基準としています。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も採用しており、指数連動型ETF「iFreeETF MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」が上場されています。この指数は、女性活躍推進法に基づく企業情報を活用し、持続可能な社会の実現を目指しています。