信託報酬は、ファンドの運用等の手数料として投資家が負担する費用です。投資信託の信託財産から間接的に支払われます。ファンドを保有している間はずっと負担し続けることになります。信託報酬は、投資家が保有するファンド資産額に対して何パーセンテージという形で決まっていて、ファンドの説明資料に明記されています。投資信託によってこの信託報酬の率は異なります。インデックスファンドの信託報酬は、アクティブ運用のファンドの信託報酬に比べて低く設定されており、それがインデックスファンドを利用するメリットの一つでもあります。
このコーナーでは、信託報酬率の違いが、ファンドの資産額にどのような影響を与えるかを見てみましょう。
仮に、組み入れている資産(株式や債券など)の価格に変化がなかった場合(元本が変わらなかった場合)、つまり運用益も運用損も発生していない状況で、信託報酬の違いが、どのような影響をファンドの資産額に与えるのでしょうか。
次の表は、異なる信託報酬(1.8%、1.5%、1.0%、0.5%、0.2%)のファンドに、各々100万円を投資した場合に、投資額が20年間でどのように変化するかを示しています。
信託報酬率 | 1.80% | 1.50% | 1.00% | 0.50% | 0.20% |
1年 | 982,000 | 985,000 | 990,000 | 995,000 | 998,000 |
2年 | 964,324 | 970,225 | 980,100 | 990,025 | 996,004 |
3年 | 946,966 | 955,672 | 970,299 | 985,075 | 994,012 |
4年 | 929,921 | 941,337 | 960,596 | 980,150 | 992,024 |
5年 | 913,182 | 927,217 | 950,990 | 975,249 | 990,040 |
6年 | 896,745 | 913,308 | 941,480 | 970,373 | 988,060 |
7年 | 880,604 | 899,609 | 932,065 | 965,521 | 986,084 |
8年 | 864,753 | 886,115 | 922,745 | 960,693 | 984,112 |
9年 | 849,187 | 872,823 | 913,517 | 955,890 | 982,143 |
10年 | 833,902 | 859,730 | 904,382 | 951,110 | 980,179 |
11年 | 818,892 | 846,834 | 895,338 | 946,355 | 978,219 |
12年 | 804,151 | 834,132 | 886,385 | 941,623 | 976,262 |
13年 | 789,677 | 821,620 | 877,521 | 936,915 | 974,310 |
14年 | 775,463 | 809,296 | 868,746 | 932,230 | 972,361 |
15年 | 761,504 | 797,156 | 860,058 | 927,569 | 970,416 |
16年 | 747,797 | 785,199 | 851,458 | 922,931 | 968,476 |
17年 | 734,337 | 773,421 | 842,943 | 918,316 | 966,539 |
18年 | 721,119 | 761,820 | 834,514 | 913,725 | 964,606 |
19年 | 708,139 | 750,392 | 826,169 | 909,156 | 962,676 |
20年 | 695,392 | 739,136 | 817,907 | 904,610 | 960,751 |
(単位:円)
結果は、信託報酬が1.8%のファンドに投資した100万円は、10年後には833,902円に減少し、20年後には695,392円へと3割以上も減少してしまいます。一方で、信託報酬が0.2%のファンドの場合は、100万円は980,179円に減少し、20年後でも960,751円に減少しますが、減少額は1.8%のファンドに比べるとずっと少なくてすみます。その差は、1年間では1万6,000円にすぎませんが、10年間では146,277円に拡大し、20年では265,359円にまで拡大します。
実際の投資においては、投資元本は上下しますので、一方的に投資元本が減り続けるわけではありませんが、信託報酬(費用)の影響がいかに大きいかは御理解いただけたと思います。わずか1%程度でも、長期では大きな違いをもたらすのです。
「初めての投資信託〜インデックスファンドから始めてみよう」の目次
- インデックスファンドとは?
- インデックスファンドとアクティブファンド
- 個人投資家もプロも利用するインデックスファンド
- 勝てるファンドを見つけるのは難しい
- 投資信託の最大のコスト「信託報酬」の影響
- インデックスファンドは、どのようにしてベンチマークと同じ投資成果を目指すのか?
- インデックスファンドのメリット
- 良いインデックスファンドとは?
- インデックスファンドの選び方
- どの口座でインデックスファンドを購入するか
- インデックスファンドの種類
- インデックスファンド・シリーズ
- インデックスファンドの歴史