株式投資の基本


株式とは

株式は企業が事業に必要な資金を調達するために発行する有価証券です。証券取引所で売買されている株式は上場企業の資金を小口化したものと考えればよいでしょう。A社の株式を持っているということは、A社の株主であるということです。

株式投資から期待できる収益には、値上り益、配当、株式分割があります。また、株主優待というメリットもあります。

 

値上り益

購入した株式の価格(=株価)が上昇することにより、それを売却して得られる利益のことです。例えば、1株=800円で購入した株式を1000円になったところで売却すれば、1株当たり200円の売却益が得られることになります。反対に、800円で購入した株式が600円に下落したところで売却すれば、1株当たり200円の売却損が発生します。

 

配当

配当は決算後に会社の収益に応じて1株当たり何円というかたちで株主に支払われます。会社の業績が悪ければ配当は支払われないこともあります。

 

株式分割

株式分割は、企業が発行済みの株式を分割して株式数を増やすために行われます。1株が1.1株に分割されると、1000株の株式を保有している株主の場合、持ち株数は1100株となります。株式分割が行われると、市場に流通している株式数が増加するために、通常は株価が下落します。たとえば、1株1000円の株式が1.1株に分割されると、株価は909円になるはずです。しかし、実際にはそこまで下落しないこともあります。たとえば、株価の下落が910円で止まったとします。分割前の株価が1000円で保有株式数は1000株ということは総額は100万円です。分割後は910円で1100株保有しているのですから、時価総額は100万1000円となります。また、もし1株当たりの配当が分割後も据え置かれた場合には、分割により増加した株式数だけ配当受取額が増えることになります。

 

株主優待

会社によっては株主に株主優待制度が提供されることもあります。株主優待制度の種類は会社により異なります。自社の商品やサービス優待券などが提供されることが多いようです。

 

株式の投資尺度

株価は企業の業績、その企業が属する業界独自の要因、季節要因、受給、金利・為替などの経済要因、政治や海外の経済活動など実にさまざまな要因がからみあって変動します。

さまざまな要因が株価に影響を与えますが、そのなかでも株価に最も重要な影響を与えるのはその企業の業績です。企業の業績は損益計算書や貸借対照表などの会社の財務諸表から読み取ることができ、これらとニュースや企業発表などと併せて投資対象企業の収益を予想したり、成長性を判断します。

しかし、たとえ企業の業績を調べることができたとしても、株価が業績を反映した水準にあるかどうかの判断はできません。たとえば、同じ業種に属するA社とB社という2つの会社の売上高の大小だけを比較しただけでは株価は判断できません。売上の大きい会社の株価は高く、売上の小さい会社の株価は安くなるということにはならないからです。利益についても、その絶対額の大きさだけで株価が決まるわけではありません。株価が業績を反映しているかどうかという判断には業績と株価を照らし合わせる別の指標が必要となります。

株価が適正水準にあるかどうかを判断する指標や企業が投資に値するかどうかを検討する指標にはさまざまなものがあります。代表的なものに次の指標があります。

 

株価収益率

株価収益率(PER=Price Earnings Ratio)は1株当たりの利益が株価の何倍におかれているかを表わすものです。

他の株式と比べて株価が割安か割高かを判断するのに使われます。株価を1株当たり税引き後利益で除し、その倍率で表わされます。最も広範に利用されている株式投資尺度の一つです。

PERが高いということは、既に株式がかなり買われており割高であるということを意味します。しかし、同時に、その会社の成長への期待が高いということもいえます。ただ、PERが何倍であれば株価は割高、あるいは何倍であれば株価は割安という絶対的基準値はありません。あくまでも相対的な判断指標です。

通常、市場全体のPERの平均や、同業他社の水準との比較において検討されます。一般に、日本の株価収益率は欧米と比較して高くなっています。また、バブルの頃には、株価収益率が100倍あるいは200倍という異常な高さとなったことがありました。最近でもインターネット関連企業などの株価収益率は100倍以上となっているものがあります。

 

 

1株当たり利益

1株当たり利益(EPS=Earnings Per Share)は、その企業の利益(税引き後利益=純利益)が発行済株式1株当たりいくらになるかというものです。税引き後利益を発行済株式数で除し、円単位で表示されます。こうすることで、企業の規模の大小にかかわらず企業の収益力を1株という同じ単位で比較することができるようになります。

株価純資産倍率

株価純資産倍率(PBR=Price Book-value Ratio)は会社の資産価値を基準として、株価の高低を測るもので、株価と1株当たりの純資産の比率を示します。株価を1株当たり純資産で除した数字で表わされます。その会社が解散したと仮定し、その時残る資産価値は1株当たりどれくらいかというものです。この数字が1倍であるということは、1株当たりの会社の資産と株価が同じであるということになります。

pbr(株価純資産倍率)

 

株主資本利益率

ROEはReturn on Euityの略称で、企業の自己資本に対する当期純利益の割合のことです。日本語では自己資本利益率といいます。株式投資の際に利用される投資尺度の一つです。

ROEの計算式:ROE=当期純利益/自己資本

 

売上高経常利益率

売上高経常利益率は、収益率を同業他社と比較したり、時系列でみて企業の収益力が改善しているか、あるいは悪化しているかをみるのに利用する指標です。経常利益が売上の何%あるかをみます。同様に、売上高営業利益率や売上高純利益率も、収益力をみるのに利用されます。

売上高経常利益率

 

配当性向

配当性向とは、会社の利益に対する配当支払いの割合をみるためのものです。1株当たり税引き後利益に対する1株当たり配当の割合です。配当性向が高い企業というのは、株主への還元を積極的に行っている会社ということになります。最近は株主還元に力を入れる企業が増えており、配当性向も注目を集めています。

配当性向

 

配当利回り

配当利回りは、1株当たり配当が、株価の何%になるかを示したものです。配当利回りは株式売買益と比較すると同じ株式投資から得られる収益といったも、あまり注目されてきませんでした。しかし、預貯金金利が低い現在では、配当利回りが預貯金金利より高いというケースも多く、より注目されるようになってきました。

配当利回り