S&P/TOPIX 150 カーボン・エフィシェント指数とは
S&P/TOPIX 150 カーボン・エフィシェント指数は、世界的な指数算出会社であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社と東京証券取引が共同で開発したESG指数(株価指数)の一つです。
S&P/TOPIX 150 カーボン・エフィシェント指数は、同じくS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社と東京証券取引所が開発し、日本の大型優良株150銘柄で構成されている「S&P/TOPIX 150指数」と同じ銘柄で構成されているものの、炭素効率性が高く、炭素排出量に関する情報開示を十分に行なっている企業の株価動向をより反映しやすく調整された株価指数です。つまり、S&P/TOPIX 150指数に比べて、炭素効率性が高く・炭素排出量に関する情報開示を十分に行っている企業の株価動向をより強く反映する仕組みになっています。
カーボン・エフィシェントとは?
カーボン・エフィシェント(carbon efficient)は、炭素効率性が高いという意味の英語です。炭素効率性(carbon efficiency)の考え方は色々ありますが、S&P/TOPIX 150カーボン・エフィシェント指数を開発・算出する東京証券取引所では、売上高当たりの炭素排出量を基本としており、売上高当たりの炭素排出量が少ない=炭素効率性が高い、としています。
地球温暖化を含めた環境問題が注目される中、企業や経済を温暖化の原因とされる炭素排出量で評価する動きが世界的に広がりました。その評価を投資にも応用した例の一つがカーボン・エフィシェント指数です。
炭素排出量の測定
企業の炭素排出量を測るのには、カーボン・フットプリント指標が使われます。フットプリントは足跡を意味する英語(foot print)ですが、ここでは排出量という意味で使われています。
カーボン・フットプリントは、企業が生産する製品がそのライフサイクルを終えるまでに排出する温室効果ガスをCO2(二酸化炭素)に換算した数値のことです。ここでいうライフサイクルとは、原材料調達、製造、流通、販売(使用)、廃棄など、製品のすべての段階を意味しています。カーボン・フットプリントは、この製品のすべての段階で排出されるCO2を算出します。このライフサイクル全体から発生する排出量をサプライチェーン排出量と呼ぶこともあります。
サプライチェーン全体の排出量の算定基準をScope3基準と言います。これは、WRI(世界資源研究所)とWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が共催している組織のグリーンハウス・ガス・プロトコル(Greenhouse Gas Protocol)が決定した算出方法で、世界標準とされています。
このScope3基準で算出された排出量を日本の上場企業の多くが公表しています。例えば、トヨタ自動車の2017年度のScope3全体のCO₂排出量は41,201万トンです(出所:トヨタ自動車Sustainability Data Book 2018)。多くの上場企業が環境報告書などの中でScope3のCO2排出量を報告しており、ホームページなどでも見ることができます。
S&P/TOPIX 150カーボン・エフィシェント指数の炭素産出量評価
S&P/TOPIX 150カーボン・エフィシェント指数では、炭素算出量は、同指数の算出会社であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社の傘下にあり、英国を本拠地とする世界的な環境評価機関のTrucostPLC社が算出しています。同社では、炭素算出量は各企業の年間温室効果ガス(GHS)排出量評価を基に、年間の二酸化炭素排出量(トン)を年間収益で除して算出しています。なお、TrucostPLC社は、1500社以上の日本企業を評価対象とすると2018年4月に発表しています。
S&P/TOPIX 150 カーボン・エフィシェント指数では、原指数であるS&P/TOPIX 150指数を構成する銘柄のうち、炭素効率性が高く(売上高当たりの炭素排出量が少なく)、炭素排出量に関する情報開示を十分に行っている企業のウェイトを引き上げ、炭素効率性が低く(売上高当たりの炭素排出量が多く)、情報開示を十分に行っていない企業のウェイトを引き下げることで、構成銘柄のカーボン・フットプリント指標を反映させています。
S&P/TOPIX 150 カーボン・エフィシェント指数の最新情報・グラフ→https://japanese.spindices.com/indices/equity/sp-topix-150-carbon-efficient-index