MSCI 日本株女性活躍指数とは
MSCI 日本株女性活躍指数は、世界的な指数算出会社であるMSCI社の基準に基づいて選出された女性の活躍度の高い日本の企業の株式で構成される株価指数です。
MSCI日本株女性活躍指数は、環境・社会・企業統治の観点で企業を評価するESG指数の一つであり、社会における女性の活躍という点から企業を評価し、構成銘柄を決定します。
MSCI日本株女性活躍指数の銘柄選定方法
MSCI日本株女性活躍指数では、MSCIジャパンIMIトップ500指数を構成する約500銘柄の中から、MSCI社が新たに開発した性別多様性スコアに基づき、各業種内で性別多様性に優れた企業を選別します。性別多様性スコアは、2016年4月1日に施行された女性活躍推進法により開示されるデータと企業の開示情報等に基づいて算出されます。
なお、指数の算出を担当するMSCI ESG リサーチが非常に深刻な不祥事を起こしている、あるいは人権や労働者権利において深刻な不祥事を起こしていると評価する企業は指数の構成の対象から外されます。
MSCI日本株女性活躍指数の構成銘柄
MSCI日本株女性活躍指数の組入比率は各銘柄の女性活躍や企業業績に応じて変動します。また、単一銘柄の組み入れ上限は5%とされています。構成銘柄および組入比率の見直しは半期毎に行なわれます。2017年5月31日現在、216銘柄で構成されており、上位10位銘柄は次の通りです。
MSCI日本株女性活躍指数の上位10位銘柄(2017年5月31日現在)
1 | KDDI(9433) |
2 | アステラス製薬(4503) |
3 | ブリヂストン(5108) |
4 | NTT ドコモ(9437) |
5 | キャノン(7751) |
6 | ダイキン工業(6367) |
7 | HOYA(7741) |
8 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) |
9 | 三菱電機(6503) |
10 | リクルートホールディングス(6098) |
(データ出所:MSCI Fact Sheet)
MSCI日本株女性活躍指数をベンチマークとするETF
大和証券投資信託委託が管理・運用する「ダイワ上場投信-MSCI日本株女性活躍指数(WIN)(銘柄コード:1652)」は、同指数をベンチマークとするETFです。同ETFは2017年9月26日に東京証券取引所に上場しました。
GPIFによる採用
MSCI日本株女性活躍指数は、世界最大級の年金基金であり、その動向を世界の金融業界が注目している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用した日本株の3つのESG指数の一つです。GPIFがこれらの指数に連動したパッシブ運用を開始したと2017年7月3日に発表したことで、これらの指数への注目が集まりました。
女性活用推進法とは
女性活躍推進法(正式名称「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)は、女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図ることを目的に2016年4月1日に施行された法律です。女性活躍推進法の基本原則は次の通りです。
- 女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活における活躍に係る男女間の格差の実情を踏まえ 、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性に対する採用、教育訓練、昇進、職種及び雇用形態の変更その他の職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じ、かつ、性別による固定的な役割分担等を反映した職場における慣行が女性の職業生活における活躍に対して及ぼす影響に配慮して、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として、行われなければならない。
- 女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活を営む女性が結婚、妊娠、出産、育児、介護その他の家庭生活に関する事由によりやむを得ず退職することが多いことその他の家庭生活に関する事由が職業生活に与える影響を踏まえ、家族を構成する男女が、男女の別を問わず、相互の協力と社会の支援の下に、 育児、介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ職業生活における活動を行うために必要な環境の整備等により、男女の職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な 両立が可能となることを旨として、行われなければならない。
- 女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならない。
女性活躍推進法により、企業(従業員300人以上)には、次が義務付けられました。
- 女性の活躍に関する状況の把握、改善すべき事情についての分析(女性採用比率、勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率等)
- 上記の状況把握・分析を踏まえ、定量的目標や取組内容などを内容とする「事業主行動計画」の策定・公表
- 女性の活躍に関する情報の公表
これにより、企業は「女性活躍推進法に基づく情報公表」「行動計画」を既に企業のHPなどで、女性の活躍度を示す情報公開を実施しています。情報公開については、次の項目等が公表されており、これらの情報も、MSCI日本株女性活躍指数の構成銘柄の選定に利用されています。
- 採用した労働者に占める女性労働者の割合
- 労働者に占める女性労働者の割合
- 男女の平均継続勤務年数の差異
- 10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
- 男女別の育児休業取得率
- 労働者の1月当たりの平均残業時間
- 労働者の1月当たりの平均残業時間
- 年次有給休暇の取得状況
- 管理職に占める女性労働者の割合