気候変動への対応が世界的な課題となる中、投資の分野でも環境に配慮した選択肢が注目されています。「MSCI Japan Climate Change Index」は、このニーズに応えるためにMorgan Stanley Capital International(MSCI)によって提供されている、日本の株式市場を対象とした株価指数です。この株価指数は、低炭素経済への移行を目指す中で、気候変動対策に積極的な企業や低酸素経済への移行に伴うリスクの低い企業に焦点を当てています。
MSCI Japan Climate Change Indexの概要
MSCI Japan Climate Change Indexは、日本の大型株と中型株225銘柄(2023年12月末現在)で構成されるMSCI Japan Index をベースに、気候変動対策に積極的に取り組む企業や炭素排出量が低い企業など低炭素経済への移行に伴うリスクの低い企業のウェイトを高めることで、低炭素経済への移行に伴うリスクへの対応力を考慮して構成されています。
MSCI Japan Climate Change Indexの特徴
低炭素経済への対応:気候変動対策をリードする企業や炭素排出量が比較的低い企業など低炭素経済への移行に伴うリスクの低い企業を高い比重で取り入れ、逆に低炭素経済への移行リスクが高い企業の比率を抑えています。
EU気候変動ベンチマークへの対応:同インデックスは、「EU 気候移行ベンチマーク(Climate Transition Benchmark : CTB)」の最低基準を上回るよう設計されています。EU気候変動移行ベンチマークは、欧州連合(EU)の持続可能な金融行動計画(Sustainable Finance Action Plan)で定められた脱炭素化の目標達成を支援することを目的としたベンチマークで、ベンチマークを構成する銘柄が温室効果ガス(GHG)排出削減と低炭素経済への移行に沿っていることが求められ、関連する様々な項目について要件が定められています。
独自のスコアリング:MSCIは、MSCI Japan Climate Change Indexにおいて、MSCI Low Carbon Transition (LCT:低炭素移行)スコアと呼ばれる独自のスコアリング等を活用して、低炭素経済への移行をサポートする企業の構成比率の引き上げや移行に伴うリスクにさらされている企業の構成比率の引き下げを決定します。なお、1銘柄当たりの構成比率の上限は5%に定められています。
MSCI Japan Climate Change Indexの構成銘柄
2023年12月29日現在、「MSCI Japan Climate Change Index」は218銘柄で構成されており、ソニー、日立、キーエンスなどの企業が上位にランクインしています。これらの企業は、気候変動対策や低炭素経済への移行において重要な役割を果たしていると言えます。上位組入銘柄(上位10位)は次の通りです。
銘柄名 | 構成比率 |
ソニー | 4.77% |
日立 | 4.28% |
キーエンス | 3.44% |
東京エレクトロン | 2.53% |
三菱UFJフィナンシャル・グループ | 2.43% |
JR東海 | 2.32% |
JR東日本 | 2.21% |
第一三共 | 2.08% |
武田薬品 | 1.86% |
ファーストリテイリング | 2.78% |
(出所:MSCI Japan Climate Change Index FactSheet)
MSCI Japan Climate Change IndexをベンチマークとするETF
2022年3月に東京証券取引所に上場した「グローバルX MSCI 気候変動対応-日本株式 ETF(2848)」が同指数への連動を目指すETFです。運用会社はグローバルX JAPAN株式会社で、売買単位は1口単位、信託報酬は0.3025%(税込)です。同ETFは、気候変動への対応を重視する投資家にとって有益な選択肢を提供しています。
結論
MSCI Japan Climate Change Indexは気候変動への対応と持続可能な開発目標(SDGs)達成を目指す投資家にとって重要なツールです。この指数を含め、環境関連指数を通じて環境に配慮した投資が促進され、低炭素経済への移行が加速されることが期待されます。