公社債投信と株式投信では、どうして公社債投信の信託報酬の方が比較的安いのですか?


長期公社債投信中期国債ファンド、MMF、MRF などに代表される、主として短期・中期の債券に投資するファンドは、概ね信託報酬が株式投信より低く設定されています。その理由としては、次のようなものがあげられます。

1.投資対象の期待収益が株式より低い

社債投信の多くは「安定的な成長」をめざした商品設計をしており、株式等のように大幅な値上がりを追及するより、期待できる収益は低くても、より確実性が高く、かつ安全な国債などを投資対象としています。また流動性を確保するためにコールローン等を利用することも多くみられます。こうしたポートフォリオの内容で、株式ファンドに見られるような1.5%以上の信託報酬を徴収すると、ファンドの収益率が低下し、商品性の魅力が低下してしまいますので、信託報酬率は低く設定されています。

 

2.運用にかかる諸経費が安い

債券ポートフォリオの運用は、株式よりもバイ・アンド・ホールド(長期保有)する割合が大きく、ポートフォリオのメインテナンスなどにかかる諸経費が安いと考えられています。また、近年、アクティブ型の株式ファンドは、銘柄の調査、分析にかかる人件費やコストも増大する傾向にあり、このような観点からも、投資信託運用会社アクティブ運用を行なう株式ファンドの信託報酬を高く設定する傾向にあります。

 

3.公社債投信に比べ、株式投信のほうが販売が難しい

公社債投信に比べ、株式投信のほうが販売が難しい、また、販売後の顧客のフォローもより丁寧に行なう必要があると考えられていることから、信託報酬のうち販売会社の受取分である代行手数料部分を高く設定する傾向があることもあげられます。

しかし、公社債に投資するファンドにも、最近は外貨建ての債券やハイ・イールド・ボンドに投資するファンドもあり、こういったファンドについては、運用会社は、諸経費等も考慮して、株式ファンドと同程度の信託報酬率を設定している場合も見られます。