原油ETFとは
ファンドの値動きが原油価格に連動することを目指して運用されるETFを一般に「原油ETF」と呼びます。一般に個人投資家にとって原油取引を行うことは非常にハードルが高いのですが、ETFを利用することで少額でも原油価格の値動きから利益を追求することが可能となります。
2017年10月末現在、次の3本の原油ETFが東京証券取引所に上場しています。これら3本のETFは、いずれもファンドの値動きが原油価格に連動するように設計・運用されていますが、ベンチマーク、形態や仕組みなどに違いがあります。
ETF名
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上場取引所
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NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信(1699) | 東京 |
ETFS WTI 原油上場投資信託(1690) | 東京 |
WTI原油価格連動型上場投信(1671) | 東京(上場時は大阪、東証と大証の現物市場の統合により2013年7月より東京証券取引所に上場) |
NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信
NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信は、NOMURA原油ロングインデックスに連動する投資成果を目指すETFで、日本国内で組成され、2010年5月17日に東京証券取引所に上場しました。野村アセットマネジメント株式会社が管理・運用しています。ファンド名の「NEXT FUNDS」というのは、野村アセットマネジメントが運用するETFのブランド名です。
NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信のベンチマークであるNOMURA原油ロングインデックスは、世界の原油先物取引の中から、取引量が多く流動性が十分あるものを構成銘柄として採用し、原油価格の値動きに連動することを目的とするインデックスです。野村證券金融工学研究センターが算出し、野村證券ホームページ内の証券市場インデックスのページで公表されています。2017年9月末現在、構成銘柄はニューヨーク・マーカンタイル取引所に上場されているLight Sweet Crude Oil(WTI原油先物)1銘柄です。
NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信は、このNOMURA原油ロングインデックスへの連動を図るために原油先物取引を行ない、日本円換算した対象指数に連動する投資成果を目指します。先物取引は買い建て額が純資産総額と概ね同額になるように運用が行なわれます。また、余資については短期有価証券で運用され、これが同ETFの分配の原資となります。ベンチマークは米ドルベースであり、日本円への換算は、原則として、対象指数の算出対象日の翌営業日の対顧客相場の仲値を用いて算出されています。
ETFS WTI 原油上場投資信託
ETFS WTI 原油上場投資信託は、Bloomberg Crude Oil Subindexに連動する成果を目指すETFで、形態としては2005年にイギリス領ジャージーにおいてジャージー会社法に基づいて設立された外国投資法人(ETFSコモディティ・セキュリティーズ・リミテッド)が発行する外国投資証券です。
同ETFは、2006年9月にロンドン証券取引所に上場され、その後、フランクフルト、ユーロネクスト・アムステルダム、ユーロネクストSA、イタリア証券取引所に上場され、2010年3月19日に東京証券取引所に上場しました。ETFセキュリティーズ・マネジメント・カンパニー・リミテッドが運用しています。なお、東京証券取引所上場当初は、ETFS 原油上場投資信託というファンド名でしたが、2012年1月2日付けでETFS WTI原油上場投資信託に変更されました。
ETFS WTI原油上場投資信託は、ベンチマークであるBloomberg Crude Oil Subindexに連動する成果を目指すETFです。同ベンチマークのは、Bloomberg Commodity Indexを構成する20の商品の1つであるWTI原油の値動きを反映するように設計されています。
ETFS原油上場投資信託は、DJ-UBS WTI 原油商品指数への連動を図るために、商品契約カウンターパーティとスワップ契約を締結し、このカウンターパーティがベンチマークのリターンをファンドに対して保証するいわゆるシンセティック・レプリケーションを採用しています。また、カウンターパーティが担保証券管理機関に運用資産額の100%をカバーする担保を差し入れることで、カウンターパーティ・リスクを回避する手段が講じられています。担保は、運用資産額の100%をカバーするように日々調整が行なわれます。
WTI原油価格連動型上場投信
WTI原油価格連動型上場投信は、基準価額がWTI原油先物直近限月清算値の円換算表示に連動することを目的としたETFで、国内で組成され、2009年8月3日に大阪証券取引所に上場しました(その後、大阪証券取引所と東京証券取引所の現物市場が統合されたため、現在では東京証券取引所に上場)。シンプレクス・アセット・マネジメント株式会社が運用しています。同ETFのベンチマークは、WTI原油先物直近限月清算値の円換算表示の価格です。
WTI原油価格連動型上場投信では、NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信と同様に、資金を証拠金として差し入れWTI原油先物を買い建て、残りの資金は米国の財務省短期債券への投資や現金で保有します。また、商品先物取引のレバレッジをかけた総額が純資産残高と概ね一致するように運用されます。余資の運用からの利息収入がファンドの分配原資となります。
基本的に、これら3本の原油ETFは、採用しているベンチマークは異なるものの、各ベンチマークはいずれもWTI原油先物の値動きを捉えるものであり、従って、各ETFも概ね同じような値動きをすることになります。
3本の原油ETFの違い
3本の原油ETFの特徴などを表にすると次のようになります。なお、最新の情報等については、各ETFのHPなどでご確認下さい。
ファンド |
NOMURA 原油 |
ETFS WTI原油 |
WTI 原油 |
組成国 | 日本 | 英国領チャンネル諸島 | 日本 |
設定日 | 2010/5/13 | 2005/8/16 | 2009/7/31 |
ベンチマーク | NOMURA原油ロングインデックス(日本円換算) | DJ-UBS WTI 原油商品指 数 |
WTI原油先物の直近限月の清算値を円換算で表示した価格
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形態 | 内国投資信託受益証券 | 外国投資証券 | 内国投資信託受益証券 |
運用会社 | 野村アセットマネジメント | イーティエフ・セキュリティーズ・リミテッド | シンプレクス・アセット・マネジメント |
信託報酬(税込) | 0.525% | 0.49% | 0.8925% |
分配 | 年1回 | 行なわない | 年2回 |
売買単位 | 10口 | 10口 | 1口 |
信託期間 | 無期限 | 無期限 | 無期限 |
(2017/10月現在)
なお、分配に関しては、NOMURA 原油とWTI 原油において、各々年1回、年2回分配を行う旨が分配方針に定められていますが、他の商品ETFでも見られるように、各ETFにおける受取利息等が経費を上回る水準にないため、2017年10月現在、分配実績はありません。